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2008年、夏、東京。 俺はカメラ片手に繁華街をうろついていた。 幼女を盗撮しようとかそういうワケではない。 ターゲットはゆっくりだ。 最近発見された、生きる饅頭。 日本では大量に見つけることができるが、海外にはほとんどいない。 台湾やアメリカの一部の州ではゆっくりの生息が確認されたそうだが、ほぼゼロだ。 そのふてぶてしい顔、そしてその不思議な生態は日本だけでなく世界の注目を浴びている。 なんでも去年、日本に訪れた観光客が例年の3倍近く増えたという。 ゆっくりバブルと、世間は騒ぎたてていた。 俺はそこに目をつけた。 海外で放送されているゆっくりのドキュメンタリーは、ほとんどが田舎が舞台になっている。 元気いっぱいに跳ね回り、力いっぱい「ゆっくりしていってね」と発声する。 そんなハツラツとしたゆっくり達ばかりが主役だ。 だから俺はあえて、都会に住む、みすぼらしいゴミクズのようなゆっくり達にスポットライトを当てようと思った。 時代はインターネット。 世界はつながっているのだ。 既にブログは開設済み。 英語の読み書きだけは得意だったので、日本語ページと英語ページが用意されている。 あとはyoutubeにメインとなるゆっくりの動画をアップするだけ。 ブログは主に、動画の制作に関する話題や、日本にゆっくりを見に観光する際のお勧め情報を載せるつもりだ。 アフィうめぇと言える日を夢見て、俺は早朝の繁華街を歩いていた。 「おっ、第一ゆっくり発見」 建物と建物の間に、1匹のゆっくりがいた。 飲食店が多い繁華街なのですぐに見つかるとは思っていたが、こんなにすぐ見つかるとは。 こんなウジムシのごとくブリブリ湧いてるモノを見に、わざわざ日本にやってくる外人がいるとは驚きである。 「ゆっ・・・!」 さっそく、カメラを録画モードにする。 ドキュメンタリーのつもりなので、あとで編集はする。 流れとしては、日本語で喋る俺の声はそのままに、画面下のほうに英語の字幕をつけるつもりだ。 「まりさ種発見です」 まりさは膨れて威嚇はしないものの、、ぶつぶつと喋る俺に警戒をしているようだ。 「 ゆゆ・・・ゆっくり・・・」 田舎に住むゆっくりのように、嬉しそうに挨拶はしてこない。 それが都会に住むゆっくりの特徴だ。 「それでは挨拶をしてみましょう。ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっ、ゆっくり・・・ゆっくりしていってね・・・・」 ゆっくりとは思えない挨拶と媚びるような笑顔。 恐怖に脅える顔が透けて見える。 本心から発した言葉ではないのだろう。 だが、俺にはそんなことどうでもいい。 都会に住むゆっくりの典型的な例なので、撮影に協力してもらおう。 俺はズカズカと、まりさの方へ歩いて行く。 「ゆっ!ゆっくりこないでね!」 そう言いつつ、逃げようとはしない。 何かあるのだ。 ゆっくりが身を挺して守るものなど、赤子くらいなもの。 まりさの頭上から奥を除くと、ダンボールの中にソフトボールほどの子ゆっくりが4匹ほど眠っていた。 アタリを引いたようだ。 「やあ、まりさ。ちょっとお話があるんだ」 俺はまりさに撮影の話をした。 都会のカラスと同じで、都会のゆっくりは田舎のゆっくりに比べて知能が高いことが多い。 このまりさも普通のゆっくりよりも若干賢かった。 説明はすぐに終わり、撮影の許可をいただくことができた。 「じゃあ、これからまりさの生活を見せてもらうよ。よろしくね」 「ゆっくりりかいしたよ!」 許可してもらったのは、まりさの行動をすぐ後ろで撮影させてもらうこと。 そして、まりさはカメラを意識しないで普段通りに生活してもらうこと。 報酬としてエサをやるといったら、すぐに了解してくれた。 ただ、野良ゆっくりにエサをやるのはマナー違反である。 なので撮影が終了したら黙って帰ろうと思う。 「そうだな、それじゃちょっとまりさの体を見せてくれるかな」 「ゆっ。ゆっくりながめてね」 狭い場所なので、くるくる回って撮影ができなかった。 しょうがないので、まりさを近くにあった板に乗せて回転させる。 本当に、汚いまりさだった。 最初に感じたのは、顔の皮の色だ。 全体的に茶色に染まり、擦り傷がアチコチに見られる。 試しに触ってみると、油汚れのようなネットリとした不気味な粘着を感じた。 底部は硬かった。 連日、コンクリートを這っているため、タコのようになっているのだろうか。 髪の毛はボサボサで、ところどころにゴミや木の枝などが巻き込まれていた。 後頭部の髪には、噛んだガムがねっちょりとこびり付いていた。 しかもひとつだけでなく、いくつもついていたため、後頭部はガムまみれ。 「にんげんさんがむりやりつけたんだよぉ・・・!ま、まりざはっ!まりざはやべでっでいっだのにぃいぃぃ」 と、泣きだす場面もあった。 帽子も変な形をしていた。 トンガリ帽子のはずなのに、べっこりと潰れてプリンのような形をしていた。 また、帽子に巻かれているはずの白いリボンはなかった。 まりさ曰く、ガムをつけてくれたお兄さんに目の前で焼かれたらしい。 あらかた撮影したので、まりさを板からおろした。 「じゃあ俺は撮影してるから、まりさは普段通りに過ごしてくれよ」 「ゆっくりするよ」 まりさは子供達の眠るダンボールに向かっていった。 俺もすぐに後を追う。 「おちびちゃんたち・・・きょうもゆっくりできるといいね」 子ゆっくりは笑顔で眠っていた。 体は親同様、汚く着色されているのでお世辞にも可愛いとは言えないが。 まりさ種が3匹と、れいむ種が1匹。 よくある組み合わせだ。 「もう1匹、親のゆっくり霊夢はどこにいるんだ?」 「ゆぐっ・・・!」 今にも泣きだしそうな顔。 それをグッとこらえる仕草をしながらまりさは言った。 「れ、れいむはっ!まりざのぜいでじんじゃっだんだよ・・・・」 「ほー。それはなぜ?」 「へんなおにいざんが・・・!まりざのれいむをぉお!!!ゆぅうぅぅぅぅうっ!!!」 そのまま、まりさは泣き崩れてしまった。 勝手な推測だが、きっと悪い人間にれいむは殺されたのだろう。 まりさを逃がすために囮になったのか、それとも単にグズだったのかは分からないが。 「ゆっくり虐待かー・・・」 以前、youtubeにゆっくりアリスの虐待画像をアップした人間がいた。 グチャボロになりながらも、必死で生きようとするありすの姿が記憶に新しい。 アップロード者は、そのまま動物愛護法でしょっぴかれてしまったのだが。 「ま、ドキュメンタリーなら大丈夫だろ」 俺はカメラを子ゆっくりに向け、その薄汚い笑顔をアップで撮った。 日が高く上った頃、ようやく子ゆっくりが目を覚ました。 「ゆっくりさせてね!」 「れいむはおにいさんとゆっくりしたいな」 「まりさ、すごくゆっくりしてるよ」 「すりすりしてあげるね!」 と、俺の存在に気がつくとすぐに話しかけてきた。 意外と人懐っこい・・・というよりは媚びるのが得意のようだ。 1匹の子まりさがすりすりをして媚を売ろうとしてきたが、汚い皮ですりすりされても嬉しくない。 ウニクロで買った俺の服が汚れてしまう。 早々に親まりさに説明をさせた。 「ゆぅー・・・」 「れいむはひとりでゆっくりするよ」 「ゆっくり・・・」 「すりすりしてあげないよ」 すぐにエサをくれない人間だと理解したようで、俺への関心を失ったらしい。 単純で良い。 「ゆっ!それじゃあみんな。かりにいくよ」 「ゆー!」 「ゆっくりするよ!」 「ゆっくりしたい!」 「がんばってゆっくりしようね!」 親まりさの掛け声に、4匹の子ゆっくりが嬉しそうに応える。 狩り。 いったい、都会のど真ん中でどのようなことをするのだろうか。 ピョンピョコと跳ねる5匹の後を、カメラ片手に俺は足を進めた。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 やってきたのは、すぐ手前にあったコンビニ。 狩りではなく乞食であった。 コンビニの外に置いてあるゴミ箱に隠れて、店に入る客に声かけをするだけだ。 みじめである。 乞食慣れしているのか、声も大きい。 「おじさん!まりさとかわいいおちびちゃんたちに、ゆっくりできるものをちょうだいね!」 コンビニから出てきた腰を曲げた老人に、親まりさは声をかけた。 「おじいさん!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしたいよ!おいしいごはんをちょうだいね!」 「ごはんたべたいよ!おねがいだよ!」 「れいむ、おじさんとごはんたべたいよ!」 「まりさにはいらないから、こどもたちだけでもゆっくりさせてね!」 親まりさが最後にそう言うと、子ゆっくり達は親まりさにすり寄り、「おかあさんもいっしょにゆっくりしたいよぉー」などと言うのであった。 演技派のようだ。 その老人は5匹に近寄り、とても外見からは想像もできないような回し蹴りを親まりさに放った。 「ゆぼげっへぇっ!!」 駐車場を転がっていく親まりさ。 老人は、それを呆然と見ている子ゆっくりにツバを吐きつけると、そのまま帰って行った。 「なんというモラルの低下。高齢化した結果がこれだよ!」 少し遠くから、俺はその様子を撮影していた。 まりさの帽子にはマイクが仕込んであるので音声もバッチリだ。 親まりさは派手な転がり方のワリに、意外とすんなり立ち上がった。 それどころか、レンズ越しに映る親まりさの体に特にキズは見当たらなかった。 その後も親まりさと子ゆっくりは、コンビニ前で乞食を続けていた。 お昼頃になると、その存在に気がついた店員に箒で追い出されてしまったが。 「ゆぅ・・・このままじゃゆっくりできないよぉ・・・」 「おなかずいだよぉぉお!!!ゆっぐりじだいのぉおお!!!」 「れいむはやくゆっくりしたい・・」 「もううごけないよおおお!!!」 「まりざおながずいだのにぃぃい!!!」 繁華街の中心を、貧相な一家が彷徨っている。 道行く人々は、視界に入らないよう歩いているようだ。 ずりずりと這う親ゆっくりが、あるものに気がついた。 「ゆ!これはゆっくりできるものだよ!!」 なんだろうと思っていると、親まりさは地面に顔を近づけた。 「これはあまあまだよ!ゆっくりできるんだよ!」 その笑顔といったら。 あれほど明るい笑顔を、あんなもので・・・。 「うわぁ・・・」 思わず声がこぼれた。 「ゆゅー?それなあに?」 「ゆっくりできる?」 「はやくたべたいよ!」 「ゆっくりちょうだいね!」 それは、道にこびりついていたガム。 誰かが吐き捨てたであろうガム。 多少硬くなっているようだが、親まりさの髪についているものほど硬化してはいないようだ。 親まりさはそれをくわえ、必死でひっぱっている。 哀れすぎて何も言えない。 「ゆゆっ!!とれたよ!!」 勢いあまって後ろに倒れこんだ親まりさ。 その口には、不衛生極まりないガムが。 「それじゃあおちびちゃんたち、ゆっくりたべてね!」 周囲の冷たい視線など、まるで無いかのように微笑む。 ただ、人の目があるのでおいそれとゆっくりを殺すワケにもいかない。 もしや、それを理解しているのだろうか。 「ゆー!あまあましあわせー!」 最初に食べさせてもらったのは、子れいむだった。 正直、見てて凄く気分が悪い。 誰が噛んだかも分らんガムを、よくもまああんなに嬉しそうに食べられるものだ。 「ゆ!まりさもたべたい!」 「れいむばっかりずるいよ!」 「まりさも!まりさも!」 「れいむ、そろそろこっちのおちびちゃんにもあげてね」 子れいむは聞き分けの良い子供だったらしく、ペッとガムを吐き出した。 すぐに別の子まりさがガムを口に含む。 「ゆー!まりさもあまあまー・・・・・・?」 顔にハテナマークをつける子まりさ。 「ぜんぜんあまぐないよぉおおおっ!!どぼじでなのぉおお!!?」 そりゃそうだ。 ただでさえ誰かが噛んで甘さが無くなっているのだ。 子れいむが噛んだことで、もはやただのグニュグニュしたものになってしまっているだろう。 「れいむがまりざのあまあまをどっだんだぁあああっ!!」 怒りの矛先は子れいむへ向いた。 猛烈な勢いで、子れいむに跳ね寄る子まりさ。 しかし、それは親まりさによって防がれてしまう。 「れいむになにをずるのぉおお!?だいぜづなしまいでじょおぉお!!?」 ボインっと膨れ、子まりさはそのまま吹き飛ばされてしまった。 ケガはしていないようだが、親まりさに弾かれたことが悔しいのか悲しいのか、起きあがろうとはしなかった。 「まりざもおぉお!!まいじゃもあまあまたべぢゃいのにぃいいっ!!!おぎゃーざんのばかぁああっ!!!」 子まりさの醜い声が繁華街に響き渡る。 「うるせーぞ糞饅頭が!」 すると、目の前の店から一人の男が現れた。 どうやら店員らしい。 「ゆゆ!みんなにげるよ!!おちびちゃんもゆっくりにげてね!」 おちびちゃん、泣き叫んでいた子まりさを呼ぶ親まりさ。 だが親の心なんとやら、子まりさはそれを拒む。 「や゙ぢゃよぉお゙ぉ゙お!!まりざのあ゙まあま゙っ!!ばりじゃのあ゙ま゙あま゙がえじでよぉぉぉおっ!!!」 「ゆぅうううっ!!!みんな、あのこはゆっくりできないこだよ!!いそいでにげるよ!!」 子まりさがあまあまを諦めるよりも、親まりさの見捨てる決断のほうが早かった。 親まりさと子ゆっくり3匹は、瞬く間に逃げて行った。 「ゆっ・・・!?おかあしゃ・・・!?ど、どぼじで・・・!」 茫然自失。 涙も止まり、声も止む。 それに満足したのか、店の男は戻って行った。 残されたのは、親に見捨てられた子まりさ1匹。 もう死ぬしかないだろう。 俺もそれに見切りをつけ、逃げた4匹を追った。 「あ゙ぁぁあ゙ああぁ゙ぁああぁ゙ああぁ゙ああぁぁぁ!!!ばりざのごどぼがあぁああっ!!!」 小さな公園で、親まりさがボロボロと泣き崩れていた。 「おかあさん、ゆっくりしてね・・・?」 「そうだよ、まりさたちがいるよ!いっしょにゆっくりしようね」 「あのこのぶんもゆっくりしようね」 それを3匹の子ゆっくりが慰めていた。 「おかあさんにすりすりするよ!」 「すりすりでゆっくりしてね!」 「すーりすーり♪」 そして始まるすりすり。 目糞に鼻糞を擦り付けているようなおぞましい光景だ。 「ゆっ・・・!みんな、いっしょにゆっくりしようね!あのこのぶんもゆっくりしようね!」 時計の針が午後3時も回った頃、ようやく親まりさは立ち直った。 「きょうはおうちにあるごはんでがまんしようね!かりはあしたやろうね!」 今日の狩りは終了したらしい。 何も得るものがない狩り。 逆に子まりさがいなくなって、何が狩りなのか。 「狩られ」だと思う。 そんなことを考えているうちに、4匹は帰路についていた。 「どぼじでごはんがないのぉぉぉおおっ!!!?」 帰って来た4匹を待っていたのは、残酷な現実だった。 「ごごにごはんがあっだのにぃいいい!!」 ここ、といって覗いているのは空のビール瓶のケース。 もともと黄色い色のケースだったようだが、色褪せてクリーム色になっていた。 キリンのビールケースだ。 子ゆっくり達は、すでに腹が減って喋る気力もないらしい。 マイクは親まりさの嘆きだけを記録していた。 「ゆっ・・・!でもおにいさんがごはんをくれるよ!きょうはゆっくりできるはずだね!」 それに気がつき、声が喜色に染まった。 体をふりふりさせながら、俺がエサを持って帰ってくるのを待っている。 「よし、今日の取材はここまでにするか」 youtubeにアップロードするのが目的なので、あまり長々としたものにするつもりはない。 せいぜい10分、長くても15分に収めるつもりだ。 なので、これ以上この一家の相手をするつもりはなかった。 「あとは編集して・・・、あれして・・・これして・・・・」 ぶつぶつと呟きながら、俺は親まりさに近づいた。 「よ、まりさ」 「おにいさん!やくそくのごはんをちょうだいね!」 「ごはんちょうだいね!」 「れいむにごはんちょうだい!」 「まりさにおいしいごはんをちょうだいね!!」 俺の姿を見ると、子ゆっくり達も気力を振り絞って声をかけてきた。 だが、相手をするつもりはない。 「マイク返してね」 帽子に仕込んだマイクを取り返す。 そして、そのまま背を向ける。 「ごっ・・・!?ごはんはっ!?まりさたちにごはん!」 なんだか生ゴミが騒いでいるが、気にしない。 蹴飛ばすのも嫌だったので、俺は全力疾走で駅まで駆け抜けた。 数日後。 俺はまた繁華街にやってきた。 アップロードした動画は、大好評だった。 アメリカをメインターゲットにしたつもりだが、世界中でウケたらしい。 英語、フランス語、スペイン語、中国語、ハングル、ロシア語で書かれたメールが山のように届いた。 英語しか読めなかったが。 そんな感想で目立ったのが、あの家族はあの後どうなったのか、という質問だ。 そんなワケで俺は再度、繁華街、あの建物と建物の間を見にやってきた。 「いるかな・・・?」 そこには、3匹のゆっくりの変わり果てた姿があった。 親まりさが1匹、子まりさが2匹。 子れいむはいなかった。 この数日の間に死んだか、逃げたか、食べられたかしたのだろう。どうでもいいことだ。 これは番外編としてブログに載せるつもりなので、今日はデジカメで写真撮影をする。 親まりさはゲッソリと痩せ細り、アンコが透けて見えそうだ。 表情は暗く、全てに絶望しながら死んだかのよう。 対して、子まりさ2匹は比較的まともな顔だった。 一体、この家族がどうやって死んだのか。 それは誰にも分らないだろう。 東京では、今日も数えきれないほどのゆっくりがゆっくりを求めて死んでいく。 誰にも存在を気づかれることなく消えていくモノもあるだろう。 この家族は少しはマシだ。 俺のアフィ収入になるのだから。 俺は次の企画を考えていた。 このSSに感想を付ける
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ダークパッセージ(だーくぱっせーじ) 概要 ラタトスクの騎士に登場した籠手系の腕防具。 登場作品 + 目次 ラタトスクの騎士 関連リンク関連品 ネタ ラタトスクの騎士 黒鉄と昆吾鉄で作成された篭手。悪魔の手を模している エミル用の腕防具の一種。 物理防御力+15、術防御力+9でクリティカル2と物理攻撃上昇2のスキルを持つ。 合成で作成できる。 分類 腕防具 (篭手) 装備者 エミル 防御 15 術防 9 買値 - 売値 765 スキル クリティカル2・物理攻撃上昇2 入手方法 合 ダークガントレット ×1デーモンの翼 ×1デーモンの角 ×1ダマスカス ×22903ガルド ▲ 関連リンク 関連品 ダークガントレット ▲ ネタ ダークパッセージ(英:dark passage)とは、「暗い通路」という意味。 ▲
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ゆっくりいじめ系230 ゆっくりカーニバル虐家無 ゆっくりいじめ系351 臭い付きゆっくり!(上)虐無 ゆっくりいじめ系397 臭い付きゆっくり!(下)虐環 ゆっくりいじめ系520 ゆっくり移植 ゆっくりいじめ系609 きらーうーぱっく虐家共無 ゆっくりいじめ系780 教育!田舎ゆっくり虐無 ゆっくりいじめ系838 ゆっくりジャグリング ゆっくりれーせん系いじめ1 DXトラップ ゆっくりいじめ系980 いじめダメ絶対(ゆっくりは可) ゆっくりいじめ系984 てんことお兄さん1 ゆっくりいじめ系1018 忘却 ゆっくりいじめ系1076 てんことお兄さん2 ゆっくりいじめ系1122 恐怖のリッツパーティ ゆっくりいじめ系1338 虐待ゆっくり上_01 ゆっくりいじめ系1339 虐待ゆっくり上_02 ゆっくりいじめ系1575 虐待ゆっくり下 ゆっくりいじめ系2008 偉大な鬼異山 ゆっくりいじめ系2074 母ぱちゅりーの受難 ゆっくりいじめ系3140 マンションの火事
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『しゅくふくっ』 4KB 小ネタ 不運 日常模様 赤ゆ 加工場 独自設定 初投稿 初投稿です。ごめんなさい 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 今ここに一つの尊い命が生まれようとしていました。 少し前までは寝言すら出せずに、ただ眠っているだけの存在。 「ゆぅ・・・ゆっくち・・・ゆゆぅ・・」 次第に声が出せるようになり、夢を見るようにもなりました。 とても幸せそうな寝顔で眠っている事から、とってもゆっくりした夢でも見ているのでしょう。 「ゆぅ・・ゆぅ・・・ゆ?」 長い眠りから覚め、そのつぶらな瞳を開かせます。 しかし視界には何も映っていません。あるのは漆黒の闇ばかり。一箇所を除いて 「ゆゆっ!あそこがでくちしゃんだね!まっちぇちぇね!!!まりちゃがいまからうまれりゅよ!」 一箇所だけ光っている場所がありました。そう、そこは産道の出口。外の世界から光が漏れていたのです。 そして、どうやらこのゆっくりは胎生妊娠で生まれるまりさ種のようです。 本能でわかっているのか一目散に産道の出口に向かって進みます。 「ゆゆーん!いまからまりちゃしゃまがうまれるのじぇ!!! ぜんしぇかいのかみしゃまが!このよにしょんざいするすべてのいきみょにょたちが!! まりちゃしゃまのたんじょうをしゅくふくっしているのじぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 目が覚めてから10秒もしないうちに自分の名前に「様」をつけるようになりました。 「祝福してね」ではなく「祝福している」と断言しているのも、よほど自信があるのでしょう。 歩みを進めながら自らがこの世に誕生する事をまりちゃは感動しています。 しかし、赤ゆの歩行速度では赤ゆにとってそれなりに距離のある産道を進むのは大変です。 実際はまりちゃが自分で進んでる訳ではなく産道がウネウネと動きながらまりちゃを出口に向かって運んでいるのです。 「まずはにんげんをどりぇいにしちぇ!あみゃあみゃをたくしゃんよういさしぇるのじぇ!! そのあとはいろんなびゆっくりとたくしゃんしゅっきりちて!!あかちゃんをたくしゃんちゅくって! まりちゃしゃまのおうこくっをつくるのじぇ!!しょれでおうこくっのものたちでかみしゃまたちをたおしちぇ!! このよのしゅべてをまりちゃしゃまのものにするのじぇ!!」 まだ生まれてもいないのに人間の事やすっきりに関する知識を持っているあたり、とても賢いまりちゃの様です。 「ついにまりちゃしゃまがうまれるのじぇ!! まりちゃしゃまのたんじょうに!だいちが!うみが!おしょらが!ふるえているのじぇぇぇぇぇぇ!!!!」 ついに誕生の時がきました。ミチミチと産道が音をたて震えています。 産道からとてつもなくゆっくりしていて、かつ自信に満ち溢れたまりちゃの笑顔が見えました。 「しぇかいのみんにゃまっちぇちぇねぇぇぇぇぇ!!!ついにまりちゃしゃまがうまれるよ!! きょれからまりちゃしゃまのでんしぇちゅがいま!!まくをあけるんだじぇ!!!」 ポーンッッ 「おしょらをとんでるみちゃい!」 ついにまりちゃが誕生しました。産道から解き放たれ、虹のように軌跡を描きながら飛んでいきます。 飛んでいる間、まりちゃの顔は晴れ渡るようなゆっくりした顔でいました。 この世に生を受け、自らに委ねられた宿命をうけいれた。覚悟を決め、全世界の者達に祝福、そして期待されている そのような顔でした。 「ゆべぇ゛ぇぇ゛ぇ゛ぇ!!」 しかし着地したのは冷たい固い床の上、着地した際の衝撃が脆い赤ゆの体に伝わります。 「ゆ゛ぎ゛ゃぁぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁぁ!!いたいんだじぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!! ゆ゛・・?きょーろきょーろするよ!!」 痛さに悶絶しているのもつかの間、着地した床は坂になっておりまりちゃは重力に従って転がっていきます。 そして少しの間転がった後、足場がなくなり 「おしょらを・・・ゆぎゃぁぁぁぁぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁぁ!!!」 浮遊感がまりちゃの体を襲った後、その下にあった穴に吸い込まれまりちゃの体を切り刻んでいきます。 「もっ・・・ちょ・・ゆ゛っぐ・・べぇ゛っ」 まりちゃが生まれたのは・・・そう加工所。ゆっくりをゆっくりさせない場所である。 さらに言うと、加工所の中でも食料部門の場所である。 そこで行われる過程は単純明快。母体となるゆっくりに精子餡を注入。後は生まれてくる子供を文字通り「加工」それだけである。 尚、加工の際ゆっくりは苦しむほど餡子が甘くなるのでさまざまな加工方法もあるが ここで生産される餡子は甘すぎないように予め設定して作られているため、たいして苦しみを感じずにまりちゃは加工されたのだ その光景は毎日毎日、数え切れないほど繰り返し行われている作業の一つにしか過ぎない。 結局、まりちゃは祝福なんてされていなかった。母体となるまりさは度重なる出産とその後の光景を見ているせいで 子供に対する配慮も、もうなかった。まりちゃは祝福どころか誰にもその存在を知られる事なく その短いゆん生を餡子の塊となって終えた。
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『お目覚めはゆっくりと』 ※現代にゆっくりがいる設定です 東京近県の衛星都市。 比較的地価の安いこの地域は、学生やフリーター、若手の新入社員達が多く住んでいる。 だから、専門学校を卒業して間もないような人間でも、 このあたりで部屋を借りつつ、"ゆっくり"と暮らすのも可能だった。 * * * 8畳フローリング・ロフト付き。 そんな間取りの部屋の中央で、1匹のゆっくりれみりゃが座っていた。 その傍らには、クレヨンや画用紙や積み木といったものが散乱している。 れみりゃは、大好きな玩具に囲まれながら、 幸せそうにだらしのない下ぶくれスマイルを浮かべていた。 「うー♪ ぷっでぃーん♪」 自然と口から漏れるのは、大好きな言葉。 れみりゃは、この部屋の主の人間とともに暮らし、実にゆっくりとしていた。 その証拠に、れみりゃの体は標準的なものに比べて、はるかに"ふとましかった" ふくよかな四肢ははちきれんばかりにプヨプヨしており、 お腹はぷっくら膨らみ、下ぶくれ顔にはさらに二重顎のおまけがついている。 「うー♪ ぽかぽかしてきたどぉー♪ そろそろだどぉー♪」 太陽から差し込む温かい光。 ポカポカの陽気を受け、部屋の中はエアコン無しでも温かい。 れみりゃは、その気温と太陽の光を確認してから"うーしょ、うーしょ"と重たそうに立ち上がり、 小さな黒い羽をパタパタ動かして、重たい体を浮き上がらせた。 「ぱたぱた~♪ う~☆」 れみりゃが、ご機嫌で飛んでいく先、 そこは部屋の角にあるベッドの上だった。 「おねぇーさーん♪ あさだっどぉー♪」 ベッドの上には、部屋の主である人間が眠っている。 れみりゃには、この部屋で"ゆっくりする"ためにいくつかの対価……すなわち勤めが課されていた。 朝になったら起こすというのも、比較的夜行性のれみりゃの役目の一つだ。 「……ん、うん……すぅ……すぅ……」 ベッドで寝ている人間は、わずかなリアクションだけをして、また健やかなな寝息をたてはじめてしまう。 その寝顔に下ぶくれ顔を近づけ、ぬぼぉーっと覗くれみりゃ。 れみりゃは、起きない人間のために、次なる手段をとることに決めた。 「しょーがいなどぉー♪ とくべつさーびすだっどぅ♪」 人間を踏まないように、れみりゃはよいしょとベッドの上に着地する。 短くて柔らかい足は、ちょうと人間の首を中心にして、左右に置かれていた。 れみりゃは、それからドスンと、まるで尻餅をつくように尻から座り込む。 大きなお尻の下には、ちょうど人間の顔があった。 「……うぷっ」 それまで定期的な寝息を立てていた人間の口から、反射的な吐息が漏れた。 それから、れみりゃは尻を顔に乗せたまま、左右に尻を振るように体重を移動する。 それはまるで、尻を顔に擦りつけるような所作だ。 「でびぃーのかわいいおじりぃー♪ あさから、くんかくんか☆できるなんてしあわせもんだどぉー♪」 ご機嫌満悦の微笑みを浮かべる、れみりゃ。 "うーうー"とリズムを刻みながら、お尻を揺らしていく。 「……うぁ?」 ふと、れみりゃはお尻のあたりがムズムズしているのを感じた。 れみりゃは、そのムズムズに促されるように、少しだけいきむ。 「あーぅあぅー♪ でび☆りゃ☆ぶぅーーー♪」 "ばっぶぅーーーー!" 豪快な音をたてて、れみりゃの尻から黄色いガスが勢いよく放出された。 「うー♪ でちゃったどぉー♪」 れみりゃは、照れながら、それでいてどこか得意そうに、顔を赤らめて笑う。 その直後、れみりゃの体はゴロンと前転して、布団の上に着地した。 「うー!」 驚き、目を見開くれみりゃ。 何が起きたかわからず左右をきょろきょろしてから、 れみりゃは背後へ振り向いて元気に叫んだ。 「うっうー☆おはようさんだどぉー♪」 そこには、気だるそうに上半身を起こして、片手で頭を押さえている部屋の主がいた。 「……おはよう、れみりゃ」 "自分のおかげで、今日も部屋の主が起きられた" そう考えているれみりゃは、どこか誇らしげだ。 大好きな人間に構っても追うと、朝の支度を始める人間のまわりをピョコピョコついて回る。 一方の当の人間はというと、れみりゃを適当にあしらいながら、洗顔に着替えにと、テキパキすませていく。 「……物騒な事件が続くなぁ」 人間は、新聞を開いて、ジャムを塗ったパンと野菜ジュースを口にする。 "未確認ゆっくりまた出現!" "未確認ゆっくり第4号、第21号と交戦" "ゆっくりと人間の共存は可能なのか?" "鏡の中に現れたゆっくりが人間を襲う!?" 記事を流し読みで済ませて、オートマティックな所作で朝食を終える人間。 テキパキ食器を洗い終えて、ふと一息。 この後、温かいコーヒーを一杯飲んで家を出るのが、この人間の毎日だった。 コーヒーに、ふーふー息を吹きかけて、人間は今の時間を確かめようと机の上へ視線を移す。 「……あれ、時計は?」 そこには、置いてあるはずの時計が無かった。 いわゆる電波時計という奴で、仮にれみりゃが起床役を忘れていても、きちんとアラームが鳴る代物だ。 量販店で買った安物ではあったが、あるはずのものが無くなっているというのは何とも気持ち悪い。 コーヒーを冷ますのをやめて、人間はあたりを探し始めた。 すると、人間の様子から事態を察したのだろう。 れみりゃが、机の上に立ち、人間の前にバンザーイと両手を上げた。 「う~~♪ あのゆっくりできないジリジリは、でびぃーがぽぉーいしといてあげたどぉ♪」 "ぽぉーい♪" その言葉を聞いて、人間は溜息をついた。ああ、またやってしまったのかと……。 人間は肩を落として、ゴミ箱の蓋を開ける。 すると、中には探していた電波時計が確かに入っていた。 「あれもぽぉーい☆これもぽぉーい♪ ゆっくりできないものはみんなぽいするのぉー♪ ぽぉーい♪」 「ぽーいぽーい♪」と物を投げ捨てるジェスチャーを織り交ぜながら、 "うぁうぁ"楽しげに踊り出す、れみりゃ。 それとは対照的に、人間は電波時計と一緒に捨てられていたものを見つけて、顔を青くした。 「ああっ、ボクのケータイ!!」 人間は、最近買い換えたばかりの携帯電話が乱雑に捨てられていたのを見て、慌ててそれを取り出す。 液晶をオンにすると、待ち受け画像と今日の日付、それにアラームが鳴っていた履歴が表示された。 どうやら、れみりゃはアラームが鳴ったものをまとめて、"ぽーい"してしまったらしかった。 壊れていないことにほっと胸を撫で下ろしてから、人間はケータイ電話をポケットに移す。 れみりゃはといえば、相変わらず誇らしげに胸をはり、人間の足下でニコニコしている。 どうやら頑張ったご褒美を欲しがっているらしい。柔らかくて短い手で、人間の服の裾を引っ張っている。 「でびぃーがんばってぽぉーいしたどぉー♪ ごほうびに、ぷっでぃ~ん☆ふたちょもってきてぇ~ん♪」 れみりゃからすれば、全くの善意の行動だったのだろう。 怒られるという不安は全く感じていないようだった。 本来ならば、しっかりここで教えておくべきなのだが、 ケータイに表示された予想外の時刻の前では、そんな余裕は無かった。 人間は冷蔵庫を開けてプリンを取り出すと、それをれみりゃに手渡す。 れみりゃはプリンを掲げて喜び、部屋の中央に座ってプリンを開ける。 「はぁ……いってきます……」 「うーうー♪ ゆっくりおつとめしてくるがいいどぉー♪」 プリンをがっつきながら、れみりゃは靴を掃き終えた人間に手を振った。 そうして、プリンを食べ終わると、れみりゃはパタパタ飛んで、ロフトの上に向かう。 ロフトの上には、収納用の段ボール箱と、ゆっくり用のおもちゃ箱、 そして人間の赤ん坊用のベビーベッドが置かれていた。 ベビーベッドには、ひも付きの札がひっかけてあり、 そこには汚い平仮名で大きく"こーまかん"と書かれていた。 「でびぃーはこれからおねむするどぉー♪ おやすみだっどぉー♪」 れみりゃはそのベビーベッドで横になり、目を瞑る。 それから、うぴーうぴーと鼻提灯を出しながら眠り始めるのに、さして時間はかからなかった。 * * * それから、数時間が経った。 れみりゃはタオルケットにくるまりながら、相変わらず寝息を立てている。 幸せそうにヨダレを垂らしているれみりゃ。 その顔に、突如"こぶし"がめり込んだ。 「ゆっくりしね☆」 「う、うびぃー!?」 いきなりの痛みに、れみりゃは起きあがり、 赤くなってヒリヒリジンジン痛む顔に手をあてる。 「うぁ~~! でびぃーのえれがんとなおかおがぁ~~~!」 目が覚めるとともにより明確になる痛みに、れみりゃは涙を浮かべて叫んだ。 「うー! おねぇーさま、ようやくおきた! おそい!」 「う、うぁ!?」 涙でにじむ視界の中、れみりゃの視線の先には、ゆっくりフランがいた。 このフランもまた、れみりゃとともにこの部屋に住んでいるゆっくりであった。 「うー! おねぇーさまをいぢめるふらんは、でびぃーがやっづげでやるどぉー!」 れみりゃはグシグシ涙とヨダレををぬぐってベビーベッドから出ると、 その手をぐるぐる振り回して、フランの下へドタバタかけていく。 だが、フランはそんなれみりゃの姿を見て、 キランと目を輝かせたかと思うと、手に持った棒で逆にれみりゃを殴り飛ばした。 「くりゃえ~☆ れ~ばてぃん☆」 「!!??」 "れーばてぃん"の直撃を受けたれみりゃは、叫ぶことさえできずに、床に倒されてしまう。 フランはそんなれみりゃの上に馬乗りになると、べしべしその頭をたたき出す。 「うーー! ふらんちゃん、やべでぇーー!」 「うー☆しねしね! ゆっくりしね!」 れみりゃの戦意は、あっという間に粉砕されてしまった。 だぁーだぁー泣き叫び、フランに許しを請うのが精一杯だ。 「うー! もぉーぶただいでぇー! でびぃーは、ゆっぐりおねむしてただけだどぉー!」 一方、フランは電波時計をれみりゃの前にドンと置いて指を指す。 時刻は午後4時。ちなみにれみりゃの起床時間は、午後3時と決められていた。 「もうおきるじかん! おねぇーさま、ゆっくりおきる! そしてしぬ☆」 「ぷんぎゃー!」 フランは最後に大きな一発をれみりゃにお見舞いすると、 "うー☆"という天使の笑顔に戻って、"こーまかん"と名付けられたベビーべッドへ上る。 「う、うぁ、うぁぁ……」 れみりゃは、痛む体を何とか起こして、 ベビーベッドでタオルケットをかけるフランに抗議の叫びをあげた。 「う、うー! そこはでびぃーのこーまかんだどぉー! ふらんちゃんはつかっちゃだめだどぉー!」 「うー、ゆっくりねる……つぎのしごとまで、しえすた……」 れみりゃの我が侭などどこ吹く風。 フランは涼しい顔を浮かべたまま、健やかな眠りに入っていく。 れみりゃは、何とか"こーまかん"を取り戻して再び眠ろうと考えたが、 先ほどまでの攻防の後では、フランに逆らうほどの勇気も無かった。 「さくやぁー! さくやぁどこぉーー! ふらんちゃんがいぢめるどぉーー!!」 れみりゃに残された手は、泣いて助けを呼ぶことだった。 なお、この部屋を借りている主、すなわち現在働きに出ている人間の名前は"さくや"ではない。 無償の愛で自分に尽くしてくれる存在、さくや。 れみりゃ種にとって、その名前を叫ぶことは本能的なものであった。 故に、仕方の無い側面もあるのだが、これから眠ろうとするフランからすれば、その騒音はたまったものではない。 それに、あまり五月蠅くしては、アパートを借りている人間にも迷惑がかかる。 困り者の姉が我が侭を言った時、ブレーキ役となるのが自分の役目だと、フランは考えていた。 故に、フランはベビーベッドから出て、 前のめりでわんわん泣いているれみりゃの尻を蹴飛ばした。 「ゆっくりしね☆」 「ぶひぃー!」 フランのその考え自体は間違っていないのだが、 そのやり方は少々過激で、主の人間からも度々注意はされていた……。 しかし、れみりゃに対して過激な言動に出てしまうのは、 れみりゃがさくやを呼ぶのと同じく、フラン種にとっての本能だ。 れみりゃへの愛情・愛着・信頼があったとしても、 あるいは、そういった感情があればこそ、フランはれみりゃに対して過激な行動に出てしまう。 「うぁぁーー! うぁぁー! でびぃーのぷりてぃーなおじりがぁーー!!」 「おねぇーさまもちゃんとしごとする……そうじとせんたくしなきゃだめ」 両手で尻をさするれみりゃに対し、冷静に告げるフラン。 それに対し、れみりゃは仰向けになると、泣きながらダバダバ手足を振り回し始める。 「でびぃーはおぜうさまだからいいんだもぉーん! そんなのさくやがやってくれるもぉーん♪」 フランは、大きく息をはいた。 しかし、それは残念だからでは無い。 聞き分けの無い姉に対して、今日もこれから"姉妹水入らずの肉体的コミュニケーション"を行える喜びからだ。 「う、うぁ!?」 キラーン☆と光るフランのルビー色の瞳に、れみりゃは反射的にビクっと体を震わせた。 「かぞくのるーるをまもれないやつは、ゆっくりしね!」 フランはそう叫ぶと、段ボール箱の中に入っていた小さな"あまあま"のヌイグルミを、れみりゃの口に押し込んだ。 口を塞がれ、"んーーんーー"とさくやの名を呼ぶこともできないれみりゃ。 その様子を確認して、うんうんと頷くフラン。 そうしてフランは、背中をゾワゾワ走る愉悦に身を任せるのだった。 * * * 薄暮の空の下、れみりゃ達の主の人間は、自転車を横に歩いていた。 自転車のカゴの中には、近所のスーパーで買った食品や日常雑貨が入っている。 「まいったなぁー、もう遅刻できないよ……やっぱり分担を変えるしか……」 主の人間は、結局今朝遅刻してしまい、上司からたっぷりしぼられてしまった。 元々、この人間は朝に弱く、遅刻をしがちだった。 より確実に起きられるよう、れみりゃにお願いをしたが、どうにも成果は上がらない。 妹のフランに頼めばより確実なのだが、 フランは、昼頃まで夜~朝シフトのバイトに出ており、それは難しい。 バイトといっても、いかがわしいものではなく、深夜のラジオ出演や雑誌関係の仕事が殆どだ。 いわゆる、タレントペットならぬ、タレントゆっくりなのだ。 その出演料は意外とバカにならず、"共同生活"を行う上で大いに助かっている。 実のところ、仕事が忙しい月に関して言えば、この人間の正規の月収さえ上回ることもあった。 そんな折、一人だけ働くフランに負い目を感じてか、それとも姉としてのプライドがあってか、 れみりゃにも家事という名の仕事を与えてみたが、なかなか上手くはいかない。 予想はしていたが、目覚まし係というのも向いていなかった。 「……うん?」 ふと、とある光景が目に止まり、人間は足を止めた。 自転車をアパート共有の駐輪場に置いてから、小走りでその現場へと向かう。 その現場は、アパートの目の前の電柱だった。 そこに、数人の小学生らしき子ども達が集まっている。 思い思いのバッグを持っていることからすると、学校帰りというよかは、塾帰りなのかもしれない。 そして、彼らの中心には、縄跳びのロープで電信柱に巻き付けられた、ゆっくりれみりゃがいた。 れみりゃの体はしっかり固定されており、うびーうびーと濁った寝息を立てている。 そのふとましい姿、何かあった時のため帽子に刺繍したアップリケ型の飼育証明を見て、 "間違いなく我が家のお嬢様だ"と主の人間は確信した。 「おい、こいつなんだよ?」 「こいつ、ゆっくりだろ? どっかのペットかな?」 「これ見てみろよ! 眠っていたらつねって起こせってさ」 少年が指差した先、電柱に一枚のメモが貼り付けられている。 そこには、平仮名で"ねてたらつねっておこす。それいがいしたらゆっくりしね"と書かれていた。 その文字を見て、主の人間には察しがついた。 姉妹喧嘩……というには一方的な、フランの制裁が行われているのだと。 そんなことを知らない少年の一人が、むぎゅーとれみりゃの頬を引っ張った。 その痛みには、寝ぼけ眼でれみりゃが目を覚ます。 「う~~! でびぃーのきゅ~どなほっぺがじんじんするどぉ~~!」 赤く腫れた頬をさすろうとするが、手はロープで固定されているため動けない。 しばらく"うーうー"難儀した後、れみりゃは痛みから逃げるように目を瞑って浅い眠りへ落ちていく。 「おっ、起きたぞ」 「でも、また寝ちゃったぞ?」 「なんか面白いな、こいつ♪」 少年達は、次々にれみりゃの頬を抓ったり、引っ張ったり、叩いたりしていく。 見ると、れみりゃの頬にはあちこちに赤く腫れた後がある。 おそらく、この少年達の前にも、同じようなことをした人がいたのだろう。 最初はおそるおそるだった少年達も、 起きてはまたすぐ寝てしまうれみりゃに対し、徐々に警戒感を無くして力を入れていく。 「うぁぁー! やめるんだどぉーー! さくやぁぁーーー!!」 れみりゃはとうとう泣き叫びだし、目の前の少年達へ敵意をあらわにしだした。 れみりゃのボリュームの大きな声に、びくっと後退する少年達。 少年達は、れみりゃが動けないのを再確認してから、れみりゃへ文句を言い始めた。 「なんだよ、このデブ! ここに起こせって書いてあったから起こしてやったんだぞ!」 「うー! でびぃーはおでぶさんなんかじゃないどぉー! こういうのは"ふとましい"っていうんだどぉー♪ これだから、ものをしらないしょみんはいやなんだどぉー♪」 説明してやれば美的感覚の無い少年達も、自分の凄さを認めるに違いない。 そして、あふれだすエレンガントさとカリスマにひれ伏して、ぷっでぃ~んを持ってくるに違いない。 れみりゃはそうとでも考えたのか、余裕の笑みを浮かべはじめた。 しかし、そんな事が起こるはずもなく。 少年の一人が、怒りの形相でれみりゃへ向かい、拳を振り上げる。 ここに来て、ようやく危険を感じ取ったれみりゃは、本能に従って絶叫した。 「なんだと、この!」 「さくやぁぁーー! たすけてぇぇーーー!! ああああーーー!!」 さすがにこれはやりすぎだ。 距離を置いて見ていた主の人間は、そう判断して、すたすたとれみりゃ達の下へ歩いていく。 その際、主の人間は、物陰に隠れているフランの姿を見つけた。 おそらく、ひどいめにあっている姉の姿を楽しみつつも、適度なところで助けに入るつもりだったのだろう。 主の人間は、やれやれと心中で肩をすくめた。 フランは頭の良いゆっくりであり、事実その能力もゆっくりとしては最上級のものだが、 自分の力を過信しすぎてしまうのが困ったところだ。 本当の危険が迫った時には、いかにフランといえどどうすることも出来ないのだ。 現に、この少年3人の前にフランが現れたとしても、いざ喧嘩になってしまえばフランに勝ち目は無い。 後でちゃんと話そう。 主の人間がそう決めたと同時に、れみりゃが主を発見して希望の声をあげた。 「う、うぁ! お、おねぇーさんだどぉー♪」 泣き叫んでいたのも忘れ、あっという間に喜色満面になるれみりゃ。 一方、驚いたのは少年達だ。 「「「え?」」」 少年達は、れみりゃに接していたのとは異なり、すっかり萎縮してしまっている。 少年達にも、れみりゃが飼いゆっくりであるのは何となく理解できていた。 もし自分たちがいじめていたのを見られていたら。 もし、さらに電柱に巻き付けたのまで自分たちだと思われたら……。 目の前のお姉さんに、親に、先生に、しかられる光景……。 いやそれ以上に、せっかく勉強したのに受験に影響するかもしれない、 損害倍賞の裁判を起こされ支払いを命じられてしまうかもしれない……。 なまじさかしかったが故に、少年達は最悪のケースを連想して震え上がっていた。 「え、あの、ご、ごめんなさい」 「こいつ……じゃない、このゆっくり、お姉さんのものなんですか?」 萎縮する少年達に無かって、主の人間は微笑んだ。 ただし、目だけは笑わずに。冷たく見下ろす視線を心がけて。 「うん、確かに。そのれみりゃはボクの家族だよ」 少年達は、目の前の女の冷たい目と威圧感、それに"家族"という言葉に恐怖した。 そこから、どれだけ自分たちへ怒りを持っているかを察し、 このまま見過ごしてはくれないだろうことを覚悟した。 「うー♪ ばかなしょみんも、これでゆっくりわかったどぉー♪ でびぃーをこあいめにあわせたぶん、たっぷりおねぇーさんにいぢめられるがいいどぉー♪」 一方、れみりゃはすっかり調子に乗っていた。 「うー♪ これでようやくぐっすりできるどぉー♪」 フランに少年達に、自分を襲った理不尽な恐怖は取り払われた。 これでもう安心だと、れみりゃはすっかり気を抜いていた。 だから、突如お尻に走ったムズムズ感を押さえることもできなかった。 "ばっぶぅーーーー!" 驚いて少年達が振り向き、さらに一様に鼻を押さえる。 れみりゃは、豪快な放屁を放って、恥ずかしそうに赤面した。 「う~~♪ あんしんしたら、でちゃったどぉ~~♪」 どこか誇らしげな、れみりゃの笑顔。 その笑顔を見ているうちに、主の人間の中にふと芽生える感情があった。 「……ねぇ、みんな。最近このれみりゃ運動不足なんだ。良かったらもう少し遊んであげて」 何気なく放たれた、主の人間の言葉。 少年達は目を丸くし、れみりゃは耳を疑いながら冷たい肉汁の汗をダラダラ流した。 「う、うー?」 「でも、ひどいことしたらダメだよ! ボクの大切な家族なんだからね!」 主の人間は、それだけ言うと、れみりゃに背を向けてアパートの方へ歩いていく。 「お、おねぇーさん? おねぇーさんまつんだどぉー!!」 れみりゃは必死に叫ぶが、それが聞き入れられることはない。 主の人間の姿は、そのままアパートの自室へ消えていった。 その代わりに、れみりゃの視界に入ってきたのは、ニヤニヤと不気味に笑う少年達だった。 * * * 「うー、おねぇーさま、だいじょぶ?」 人間が部屋に入ると、窓からフランが入ってきた。 仕掛け人の割には、姉のれみりゃのことを心配してソワソワしている。 「大丈夫だよ。それより仕事までちゃんと寝といた方がいいよ?」 「うー、わかった」 人間は、フランの頭を撫でてやり、それから冷蔵庫を開けた。 そこからプリンを3個と、オレンジジュースの入ったペットボトルを取り出す。 それから風呂場へ行き、桶を持って出ると、 そこに冷蔵庫から取り出したものとタオルも入れ、短い廊下を歩いて玄関へ向かった。 扉の外からは、れみりゃの声が今も聞こえていた。 "おねぇーさんたすげでぇーー! ごぁいひとがいぢめるよぉぉーー!!" ああ、この声だったらきっと自分もすぐ起きられるんだろうな。 主の人間は、そんなことを思いつつ、玄関のドアを開けた。 おしまい。 ============================ 自分の憧れのライフスタイル(?)を書いてしまった結果がコレだよ! まぁ近所の子どもにいじめられていたら助けると思いますが。 たぶん、子ども相手に大人げなくマジギレしちゃうかもです; あと一部に特撮ネタが無駄に入っていますが、ご容赦を。 『仮面ライダーゆケイド』とか妄想してました。 by ティガれみりゃの人 ============================
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竹取り男とゆっくり 5(前編) ある日、目覚めると腹の上に4匹のゆっくりがいた。 男が驚いて声を上げると、そのゆっくりたちは明るい笑顔を向けてきた。 「れいむのかわいいあかちゃんたちだよ! ゆっくりみていってね!」 「むきゅ! あかちゃんたち、おにいさんにごあいさつするのよ」 「「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」」 病弱なぱちゅりーが産んだ赤ちゃんは、たった2匹だった。 親であるれいむとぱちゅりーは、各々と瓜ふたつのこの赤ちゃんたちを見せようと、男が起きるまで枕元で待っていたらしい。 対面を果たした赤ちゃんたちはそれなりに可愛かった。 天真爛漫なれいむと愛情深いぱちゅりーの間で元気に育っていくことだろう。 ……あれから三日間。 外は晩秋の豪雨に見舞われて、男は雨漏りを直していた。 2匹の赤ゆっくりはよく食べ、よく遊んだ。 ときおりワガママを言うが、ぱちゅりーはよく躾をしている。 三日の間に、赤ゆっくりはひとまわり大きくなった。 そして四日目の早朝…。 雨もやや落ち着いたので、男はいつもどおり竹を切りに家を出た。 ぱちゅりーだけは起きてきて男を見送り、そのまま男の影が竹林へ消えるまで、ずっと見送っていた。 風雨にあおられてサワサワと竹の葉音の心地よい朝、カーン、カーン、と甲高い音が山を馳せる。 十分に成長した竹を斧で倒す。倒した竹を等分に切って荷車に乗せる。そして街に売る。それが男の先祖代々からの生業だった。 若竹を残して一帯を切り終えた男は、場所を移動して斧を握った。 片時の静寂が再び破られたそのときである。 手近な場所から、なにやら声が聞こえてくる。 斧を振るう手を鎮めて辺りをうかがっていると、2メートルほど離れた地面のくぼみが動いた。 そして、わさわさした落ち葉をのけて土の中から顔を出したのは、なんと野良ゆっくりれいむだった。 そのれいむは不機嫌そうにキョロキョロとあたりを見回していたが、側にいた男を見つけると、穴からピョンと飛び出した。 「ゆゆ! そこのおじさん! さっきからかんかんうるさいよ! ゆっくりできないおじさんはどっかへいってね!」 ああ、もうそんな季節か…と男はため息をついた。 通例、竹で覆われた山にはゆっくりのエサになるような植物や昆虫は少ない。 そのため、この山には道に迷った"はぐれゆっくり"やエサに関する知識の乏しいゆっくりしか来ない。 だが、最近は冬も近づいたこの時期に、ここに巣をつくるゆっくりがポツポツ現れた。 ゆっくりたちが苦労してここに穴を掘り、食物を運び込んで越冬する最大のねらいは、春先に生えるたくさんのタケノコである。 そして、これらは男の食料源でもあり副収入源でもある。 だからこそ、男は毎年この季節になると罠をしかけ、アミなどを持って捕獲に専念してきたのである。 男は、また今年も苦労して土を掘り返し、ゆっくりを掃討しなければならないのかとウンザリしていた。 一方、れいむは何の反応も見せない男に対してますます不機嫌そうに顔をゆがめた。 「ゆ! せっかくれいむがしかってあげてるのに、きこえないの? ことばわからないの? おじさんばかなの!?」 れいむのこの口調に、男はすぐに潰してやろうと思った。が、信じられないかもしれないがこの男は意外と平和主義者である。 話して解決できないか、いちおう試みてみる。 「あのさ、この山には勝手に入るなよ」 「ゆ? なにいってるの? ここはれいむたちのゆっくりぷれいすだから、おじさんこそかってにはいらないでね」 「そうじゃなくて、この山の持ち主は俺で、お前のものじゃないから出て行ってくれって言ってるんだ。わかる?」 「ゆゆ? さっぱりわからないよ! ここはれいむたちがみつけたんだから、れいむたちのものだよ!」 「だから、お前は俺の山に無断で入って、勝手に自分のものだって決めちゃってるだけなんだよ」 「なにいってるかわかんないよ!! れーむたちがここにきたとき、おじさんなんかどこにもいなかったでしょぉ!?」 「…あーもうっ!」 男はやっぱりダメかと落胆した。 れいむのほうは、男が黙ったので納得したと思ったようだ。 「ゆっくりりかいできた? それなられいむをおこらせたおわびにごはんをもってきてね。そしたらゆっくりゆるしてあげるよ」 「なんでお前みたいなチビ饅頭のエサなんか」 「ゆゆっ!? れいむはこんなにおおきくてりっぱですごくゆっくりしてるのに! そんなこともわからないなんて、おじさんやっぱりばかだね!」 たしかにこのれいむは成体ゆっくりの中ではやや大きい部類に入る。 そのため、れいむは自分の力をかなり過信していた。 だが所詮はゆっくり。 人間からすれば、直径50〜60センチの大きな饅頭にすぎない。 体の大きさが強さの証だと考えるなら、自分よりはるかに大きな人間の恐ろしさを想像すればいいのだが…。 それをしないがために、こうしていつも自分の命を危険にさらすのだ。 「れいむのつよさをおしえてあげるよ! おじさんはこうかいしながらゆっくりあやまってね!」 そう言ってニンマリと不敵に笑うと、れいむは大きく息を吸いこんでから地面の石を咥えて男にプッと飛ばした。 「いたいでしょ?」 「…いたくねーよ」 れいむはまた空気を溜めて石を咥えると、男にプッと飛ばした。 「いたいでしょ?」 「いたくねーよ!」 れいむはまた石を咥え、しつこく飛ばしてくる。 「こんどこそいたいでしょ!?」 「うっせボケェ!!」 ボコォッ 「ゆぎゃんっ!?」 男は平和主義者だが、気が短かいのが玉に瑕なんだと思う…。 れいむは男に蹴っ飛ばされて地面に叩きつけられた。 口から餡子でも撒き散らして重傷を負うところだが、降り積もった落ち葉がクッションになったおかげで打ち身程度で済んだ。 「ゆぐっ、もうおこったよ! れいむにひどいことするおじさんは、あのよでゆっくりこうかいしてね!!」 れいむはプッツン切れて、ボヨンボヨンと体当りをしてくる。 …が、もちろん全然きかない。 「きたねえよ」 ズボンのすそを土まみれにされた男は、跳ねてきたれいむをゴム鞠のように蹴り上げてやった。 「ゆげえぇっ!!」 れいむは上空4メートルぐらいまで飛ばされてから、地面に落ちてビチャッと顔面を叩きつけた。 「ゆぐ…ぐ…ぐ…………どぼぢでごんなごどずる゙の゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!!???」 「お前が先にしかけてきたんだろ?」 「ゆぎぎぎぎぎ…」 れいむは歯軋りしながら男を睨みつけていたが、すぐに空気を吸い込んでプク〜ッと膨れて威嚇した。 「順序が逆だろ。威嚇が最初で、攻撃は後!」 男が斧の柄でれいむの脳天をブッ叩くと、ぶにゅっとした感触とともにれいむの体は簡単にひしゃげてしまった。 「ぷびゅるるるるるるるるるる!!!」 真一文字に結んでいた口の隙間から、溜め込んでいた空気が勢いよく漏れる。 元の大きさに戻されたれいむは脳震盪(?)をおこして両目をギョロンギョロン回していたので、男は往復ビンタで現実に引き戻した。 パァン! パァン! 「ゆぶっ!? ぶぶっ!!」 ビンタを食らったれいむの頬は、左右とも真っ赤な手形がついた。 これぞ真のもみじ饅頭。 「お前、家族がいるだろ。どこだ?」 「ゆぶぶ…しらないよ! れいむにかぞくなんていないよ!」 「とぼけるなよ? さっきお前、『れいむたち』って言ってただろ? …そこの巣穴にいるのか?」 男はれいむを捕まえたまま、視線を穴へと向けた。 「ゆっ…ちがうよっ! れいむはひとりでゆっくりしてたんだよっ! あかちゃんもまりさもどっかいっちゃったよ!!」 「あかちゃんとまりさね。で、赤ん坊は何匹いるんだ?」 「ゆぐっっ! い…い…い…いないっていってるでしょおおお!!! れいむのいうことがきこえな…」 パァン! パァン! 「あ゙っ!? ぶっ!!」 くわっと反抗的な目を見開いたので再び往復ビンタをくれてやると、れいむは涙目になって歯を食いしばった。 「ごべんなざい……ゆっぐじゆるちでぐだざい……」 「じゃあもう一度聞こう。赤ん坊は何匹いるんだ?」 「よにんで…」 パァン! パァン! 「ゆべっ!! ぐべっ!!」 男が三度目の往復ビンタをくれてやると、赤い手形は早くもミミズ腫れになった。 「人ってのは人間を数えるときに使うんだ。お前らは人間じゃないだろうが!」 「ゆひいぃぃっ! ごべんなざいい! よんひきで…」 パァン! パァン! 「でぃぎゃ!! ぎゃぶぅ!!」 これで四度目。ただでさえ赤くふくれた頬を容赦なく叩くので、頬は熱をもって腫れあがり、目と口を圧迫してメタボのようになった。 「匹ってのは動物やなんかに使うもんだ。お前らは…」 「ゆっぎゃー!! ぞおでじだあ!! でいぶだぢはまんじゅうでじだあ!! うすぎだないでいぶのごどぼだぢはぜんぶでよんごでずうぅぅ!!!」 何匹…と最初に聞いたのは男のほうだが、ビンタへの恐怖のあまり、れいむはどこまでも自分を落としていった。 「そうかそうか。薄汚いのを4個も、ボタボタと産み落としちまったのかぁ」 「そおなんでずぅ!!! じめじめじだあなのながに、うずぎだないまんじゅうがよんごもあるんでずううううっ!!!」 「じゃあお前、その薄汚い饅頭全部持って来い」 「わがりまぢだあ゙ぁぁぁぁぁぁ………………………………ゆ゙っ!?」 機械的に服従していたれいむの餡子脳が男の言葉を理解するのに、数秒を費やした。 「だ…だめでずうう!! でいぶのこどぼだぢはゆっぐぢざぜであげ…」 パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! 「ぎゅぶっ!! ゆぎゃんっ!! ぎょべぇっ!! ぶげぇっ!!」 五度目にはダブル往復。 なにせ毎日斧を振って鍛え上げた体と、人一倍大きな手から繰りだされる強烈なビンタだ。 やわらかいれいむの体は真っ赤な饅頭となって醜く腫れあがった。 両頬に圧迫された口(з←こんな感じ)からは、ときおり餡子が噴き散らされる。 「おぶっ…! ぐ……ぶぷっ……」 「早く持って来い」 「わ…がじ…ばじだぁ…」 解放されたれいむは重いほっぺたを引きずってズルズルと這っていくと、モタモタと穴の中にもぐっていった。 男は荷車に積んだ竹を整理しながら五分間だけ待ってやったが、案の定、れいむはそれっきり出てこなかった。 男は巣穴に近づくと、飛び出してきても反撃できるよう身構えながら中を覗いた。 …奥にれいむの後頭部が見える。 おそらく、もともとは別の小動物の巣穴だったのだろう。ゆっくりが作ったにしては大きすぎる巣穴だ。 れいむはその大きな入り口を、空気を吸い込んでパンパンに膨れあがった体で栓をして、ぴったり塞いでいた。 中からは親子の声が聞こえてくる。 「みゃみゃ! けがちてりゅよ!」 「どぽちたのぉ!?」 「ゆえーん! ゆえーん!」 「しょこどいちぇ! まりしゃおしょとにでりゅう!」 「あがぢゃんだぢ、なかに…いれば…っ……あんじんだがらね……。つよひおがあざんが…いれば…あんじん…ゆぼぇっ」 「ゆっ!? みゃみゃ、あんこもれちぇるよ!」 「れいみゅにくっちゅいたよぅ! きちゃなぁい!」 「ゆえーーん! やだぁ! みゃみゃ、ちんじゃやだぁ!」 「おしょとにでちゃいぃぃぃぃ!!」 「おぞどは……だめだよ……。えゔっ……おがあざんが、しゅーりしゅーりしてあげるがら……が…ゆげぇっ……がまんじででねぇ……」 ボロボロになっている母れいむは、怖がらせないように人間のことは伏せたまま、泣き叫んで心配する赤ちゃんを力づけているようだ。 が、散々ビンタされたダメージが大きいらしく、会話の途中で餡子を吐き出す雑音が聞こえてくる。 男は母れいむの後ろ髪を引っ張った。 「おい、話が違うぞ」 「ゆぎぃっ!!」 男の声と母れいむの悲鳴に、中の赤ちゃんたちはパニックをおこした。 「にゃんにゃのぉ!?」 「どぽちたのぉ!?」 「だれにゃにょぉ!? 「ゆええええぇぇぇん!!!」 「ゆぶぅ………おがーざんだいじょぶだがらっ! だいじょぶだがらっ!」 「とりあえずお前、出ろ」 男は母れいむの後ろ髪を軽く引っ張ったが、母れいむは息を止めて踏ん張っている。 巣穴はゆっくりには大きくても人間には狭すぎて入れない。 男は面倒になって、人差し指を立てて母れいむの体に突き刺した。 ズポッ 「ゆ゙っ」 勇気づけていた赤ちゃんたちの目の前で、母れいむはカッと両目を見開いて硬直した。 「みゃみゃぁ! どーちたのぉ!? いちゃいのぉ!?」 「もっとしゅーりしゅーりしてぇ!」 「…………だい…じょぶ………だい…じょ……」 ズポッ 「ゆぐっ」 「出てくるんなら、やめてやるぞ?」 れいむは激痛に耐えながら、決心していた。 この赤ちゃんたちを絶対に守ると。 このまま巣穴を塞いで時間を稼いでいれば、もうすぐ食料を探しに行っているまりさが帰ってくるはずだ。 れいむはつがいのまりさを心から愛し、信頼し、尊敬していた。 体の大きなれいむを、すごくゆっくりしてるねと褒めてくれたまりさ。 一見食料の無いこの山に、春になると美味しいタケノコが生えてゆっくりできることを教えてくれたまりさ。 地面に開いていた穴を見つけ、ゆっくりと暮らせるように改装し、元の巣穴から何往復もして藁や食料を運び込んだまりさ。 食べ盛りの4匹の子供たちとれいむに、毎日新鮮な食料を取ってくるまりさ。 れいむはまりさを信じ、早く帰ってきてと、切に願った。 ズポッ 「ゆぶぇっ」 だが、新たな激痛がれいむを現実に引き戻した。 突き刺しては引き抜き、また突き刺しては引き抜いて……今度は8回目だ。 ズポッ 「ゆ゙ぐうっ!! ……ゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っ」 れいむはとうとう指を突き刺される痛みに耐えられず、白目を剥いて痙攣しだした。 声が漏れるたびに、溜め込んだ空気も少しずつ漏れていく。 全身からネチョネチョした餡子汁が止めどなく噴き出てていた。 「みゃみゃー! ゆっくちへんじちてぇ!!」 「まりしゃがしゅーりしゅーりしてあげりゅからにぇ! げんきになっちぇにぇ!」 「ゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っ」 さすがに2ケタは耐えられないか…。 男は9回目を数えながら突き刺すと、指を回して中の餡子をえぐった。 ズポッ グリグリィ 「ゆがぁっ!!!!」 体内の餡子をこね回されたショックで、れいむは一瞬の硬直した後、溜めていた空気を吐き出した。 「ぷひゅう〜〜〜るるるるるるるるるるるるる…」 「ゅ〜♪ しゅじゅしいよ!」 「れーみゅとゆっくちあしょんじぇにぇ!!」 「ゆ! ゆ! ゆっくちー!」 「まりしゃのしゅーりしゅーりのおかげだにぇ! みゃみゃ、ゆっくちげんきになったにぇ!」 赤ゆっくりたちは、母れいむが吐き出した息に喜んでキャッキャッとはしゃいでいた だが、後頭部に9つの穴を開けられたれいむはショックで気絶していた。 男はしぼんで反応のなくなった母れいむの髪を引っ張って、巣穴から少しずつ出していく。 「ゅ〜♪ ゅ〜♪」 「どこいくにょお!?」 「みゃみゃ、"ぷひゅー"やっちぇ!」 「おしょと! おしょと!」 すると、赤れいむも母を追って一緒にくっついてきた 芋づる式に赤ゆっくりが追いかけてくるのを確認すると、男は失神したままの母れいむを背後に投げて隠した。 同時に1匹の赤まりさと3匹の赤れいむが巣穴から飛び出してきて、一斉に男を見た。 「「「「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!」」」」 …実はこの山で生まれた赤ゆっくりたちは、一度も人間を見たことがなかった。 山の持ち主である男以外、他の人間が出入りしないのだから当然である。 そのため、人間を見かけたらすぐ逃げるようにと教えられていたが、実物を見たことがないために男が人間だとわからなかった。 赤ゆっくりたちは目の前に現れた珍しい存在に気をひかれて、いなくなった母親のことなど餡子脳から消し飛んだ。 「おじしゃんはゆっくちできりゅひと?」 好奇心旺盛な赤まりさが男を見上げてたずねた。 男は返事のかわりに赤まりさをむんずとつかんだ。 「ゆゆ!? …ゆゆ〜ん♪ まりしゃ、おしょらをとんでるみちゃい〜♪」 「れーみゅもとばせちぇー!」 「ゆゆ! れーみゅも! れーみゅもとぶぅ!」 「ゆっくちとびちゃいよぉ!」 地面の赤れいむたちはピョンピョン飛びはねながら催促した。 手の中で「ゆぅゆぅ」とはしゃいでいる赤まりさはまだ生まれたばかりらしく、野生種にしては汚れもなくかなりきれいだ。 男はそんな赤まりさのわずかな汚れを手ではらい落とすと、ヒョイと口に入れた。 「ゆ? まりしゃはどこ?」 お空を飛んでいたはずの赤まりさが見えないと尋ねてきた赤れいむに向かって、男はしゃがんで口を開けて中を見せた。 「ゆゆ! しょんなとこりょにいたんだ!」 「れーみゅもいれちぇ!」 「ゆっくちかわっちぇにぇ!!」 「ゆゆ〜ん♪ だめだよ! ここはまりしゃのゆっくちぽいんちょだよ!」 立ちあがった男の口の中の赤まりさは、はるか下のほうに姉妹を見下ろして優越感に浸っていた。 一方で、男の歯が中途半端に開けられているため、身動きもままならない。 加えて中の空気が湿っぽいことで、赤まりさは不快に感じたようだ。 「ゆ! おじしゃんもういいよ! まりしゃをゆっくちおろしちぇにぇ!」 「次に入りたいヤツ、前に並べ〜」 「ゆゆっ! れーみゅをいれちぇにぇ!」 「ゆ!? こんじょはれーみゅのばんだよ! れーみゅはゆっくちどいちぇにぇ!」 「おじしゃん、いちばんきゃわいいれーみゅをえらんでにぇ!」 男が顔を地面に近づけると、赤れいむたちは小さな体で我先にと押し合った。 口の中の赤まりさは姉妹を見ながら、すぐに出してもらえるものと思って飛び出す用意をした。 そのとき…… 「ゆ゙っ…」 口の中の赤まりさが悲鳴を上げて、限界まで目を開いた。 赤れいむたちは何が起こったのか分からずポカンとしていた。 赤れいむたちからは見えないが、じつは男の舌が赤まりさの後頭部に突き刺さり、薄い皮を貫いて餡子の中で止まっていたのである。 「いっ…いぢゃいよっ!! いぢゃいよぉぉぉぉぉ!!」 「ゆゆ!? ど、どーちたの!?」 「…?」 「はやくおりちぇにぇ!」 混乱する赤れいむ。 男は舌を抜くと、吸引力を使って少しずつ餡子を吸い上げていった。 赤ちゃんの水っぽい餡子が、破れた傷口から細いチューブ状になってピュルピュルと出てくる。 甘くて美味しい。 「ゆびゃっ!? ぴっ…ぺっ……ぽぉ…!」 後頭部からゆっくりと餡子を吸い出されている赤まりさは、両目をヒン剥いてグルングルンと回していた。 赤れいむたちから見えるのは赤まりさの顔だけ。 したがって一体何をされているのか分からない。 だったら早く逃げればいいものを、この意味不明の事態への恐怖と好奇心から、ただ息を飲んで赤まりさを見ていた。 「ゆっ…ぶっ……ぷぴゃぴゃぴゃぴゃ…ゆぴゃぴゃあ……」 生きたまま7割ちかくまで餡子を吸い取られた赤まりさは、白目を剥いたまま痙攣して、意味のない悲鳴をもらしていた。 と、次の瞬間、赤まりさの眼球がパッと奥に吸い込まれた。 薄皮には、ほの暗い二つの空洞がぽっかりと開いた。 「ゆひっ」 「ゆぎゃ!!」 「ゅっ………」 赤れいむたちは驚いて飛びあがった。 そのうち1匹はあぶく立った餡子汁を垂らしてひっくり返った。 「たすけちぇぇぇ!!」 「みゃみゃあぁぁぁぁぁ!!」 2匹の赤れいむは気絶した姉妹のことなど捨てて一目散に逃げ出した。 しかし回り込まれてしまった。 男は餡子を吸い尽くしてカパカパになった赤まりさの皮を口から出すと、赤れいむの前に投げ捨てた。 「ゆぴっ!!!」 「ぴぎぃ!!!」 赤れいむはまたも飛びあがった。そして地面に足がつく前に、男の手に捕まってしまった。 「では、いただきやす」 男は両手を合わせてから赤れいむの後頭部を小さく破ると、2匹同時に口にくわえて餡子を吸いはじめた。 泣き叫びながら恐怖にうち震える赤れいむの餡子は素晴らしく美味だった。 一家で残っているのは気絶した母れいむと赤れいむ。 そしていまだ帰らぬまりさだった。 (後編)?へ
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「ゆっゆ~♪」 「ゆ~♪」 れいむは巣の中で子ども達と一緒に宝物を眺めてにやにやと笑いあっていた。 「おや、なんだいそれは?」 「ゆ!?」 その時、突然巣の入り口から人間が覗き込んだ。 人間はゆっくり達の宝物を面白そうに眺めていた。 「あんなガラクタ大事にしてんのか…」 ゆっくりの宝物というのは比較的まるくて綺麗な小石や人間が出したゴミといったものだった。 こんなものでもゆっくりにとっては珍しく大事なのだ。 「ゆー!ここはれいむのおうちでこれはれいむのたからものだよ! ゆっくりでていってね!」 れいむは勝手に巣をのぞく男に対してぷんすかと怒り男はそれを無視して 顎に手を当てて考え込みながらぱっとひらめいたかのように自分のかばんの中を漁って 母れいむ二匹分くらいの箱を手渡した。 「宝物をそのまま置いておくなんて無用心だろ こっからこの中に入れるといいよ そうすれば取られない」 そう言って箱の上部の500円玉くらいの大きさの穴を指差した。 「ゆ!?おにいさんありがとう!ゆっくりもらっていくね!」 「ゆっくちありがちょう!」 男はゆっくり立ちに御礼を言われると笑顔で返して 箱を置いて去っていった。 「ゆ~♪これであんしんしてゆっくりできるよ☆」 れいむは嬉しそうに宝物の小石やゴミクズを口に咥えると箱の中にいれていった。 「おかーしゃんおかーしゃん!たかりゃものだけぢゃなくちぇごはんもだいぢだよ!」 「ゆ!ほんとだ!れいむのあかちゃんはやっぱりあたまがいいよ!」 子れいむにいわれてれいむは今度は食べ物を箱の中に入れていく。 食料を全て入れてれいむはほっと一息ついた。 「ゆ~こんどこそゆっくりできるよ…」 「う~~~~☆たーべちゃうぞー☆」 「ゆううううううう!?」 そんなれいむの巣に突如ゆっくりれみりゃが襲い掛かった。 「たーべちゃうぞー!」 「たちゅけておかあしゃああああああん!!!」 このままでは子れいむ達が真っ先にれみりゃに食べられてしまうだろう。 迫り来るれみりゃを見ながられいむははっと思いつく。 この大事なものを入れる箱の中に子ども達を入れれば子ども達は安全だ尾t。 「あかちゃんたちはこのはこのなかにはいってね!」 さっと子れいむ達を咥えると穴にぺっとだしてさらに上から押し込んだ。 「ゅぅぅぅぅぅう!?いちゃいよおかあしゃあああああん!!」 「がまんちてねえええええ!!」 穴が小さすぎたのか子れいむ達は痛みに悲鳴を上げるが今はそんなことを構っている暇は無い。 れいむは三匹の子れいむ達を即座に押し込んでいった。 「う、うー?」 れみりゃはさっきまでいた子れいむ達が箱の中に隠れてしまい困ったように辺りを探した。 「ゆううう!ここはぜったいにとおさないからゆっくりでていってね!」 立ちふさがるれいむを見てれみりゃはそれをむんずと掴んだ。 「これまずいからいりゃない!ぽいっするど!ぽいっ!」 「ゆうううううう!?」 「しゃくやー!ぷっでぃーんもっでぐるどー」 もとより子れいむ以外食べる気がなかったのか母れいむを投げ捨て、れみりゃはその場を立ち去った。 「ゆぅぅぅ…あぶないところだったよ…」 れいむはれみりゃに投げ飛ばされて痛む体を起こしながらほっと溜息をついた。 「ゆ、もうだいじょうぶだよ!ゆっくりでてきてね!」 「ゆー♪おかあしゃんしゅごーい!」 「さっしゅがぁ♪」 「おかあしゃんだいちゅき!」 子ゆっくりたちは歓声を上げて母の元へと行こうと箱の中を歩き回った。 「「「どうやってでりゅのおおおおおおお!?」」」 「ゆううううううううう!?」 それから一月が経った。 「ごはんをもってきたからゆっくりたべてね!」 巣に帰ったれいむは真っ先に箱の中に餌を入れていく。 「…むーしゃむーしゃ」 「…しあわ」 「じぇんじぇんしあわせじゃないよおおおおおおお!!!」 あれから子れいむ達は毎日のように泣いていた。 箱の中は穴以外から光は入らず非情に薄暗く、換気もろくに出来ないため常にじめじめとしていた。 鉄で出来た箱の内壁は冷たく重々しく、心までゾワゾワと冷ましていく。 箱の中はゆっくりとは全く無縁の場所だった。 「だちて!だちてえええええええ!!」 一匹の子れいむがドンドンと壁に体当たりを繰り返す。 「やめてね!ゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「も゛う゛ゆ゛っぐり゛でき゛な゛い゛い゛い゛いいいい!!」 箱の中に子れいむの叫びが木霊した。 「ゆ゛ぐぐぐ…ごべんね…ごべんね…!」 れいむは箱に耳を当てて中の会話を聞きながらぎゅっと目をつぶり涙した。 もし自分が箱の中に入れたりしなければこんなことには もし自分がこの鉄の箱をひっくり返して中のものを取り出せれば れいむはこころの底から後悔した。 さらに二ヶ月の月日が経った。 都合、三ヶ月もの間子れいむ達は過ごしたことになる。 「ごはんをもってきたからゆっくりたべてね!」 「「「……」」」 ここのところもはや三匹は何も喋らずにただただご飯を食べるだけであった。 その姿を見ながら元気だった頃の子れいむ達の姿を思い出してれいむの頬を涙が伝った。 「どぼぢで…ごんなごどにぃぃぃぃ…」 悲痛なれいむの声を聞いて、通りすがりの男がすっと巣の中を覗き込んだ。 「なにしてんだ?」 あの箱をれいむたちに与えた男である。 「うわああああああああああ!!!」 思わずれいむは男の顔面にむかって体当たりした。 「うわっぷ!?な、なにすんだよ!?」 「おばえのぜいで!おばえのぜいでぇええええ!!」 「おにいざんがごのばごをわだずがらでいぶだぢがあああ!!!」 子れいむたちも男の出現を悟って思わず溜まっていたものが爆発して罵声を投げかけ始めた。 「な、まさかお前子どもまで箱の中に入れたのかよ!?」 男は酷く驚いたようだった。 「でいぶのあがぢゃんぢゃんどだぢでねえええええ!!」 男はこの箱ならゆっくりには取り出せないだろうと思って軽いいたずらのつもりでこの鉄の箱を手渡したのだが まさか子どもを入れてしまうなんて思いもよらなかった。 「わかったわかった、出してやるって…」 流石に男も気の毒に感じて手を貸してやることにしたのだった。 「あ、あぢがどおおおおおおおおおお!!!」 れいむは嬉し涙を流して男の足に頬をこすりつけて感謝した。 「要はひっくり返せばいいんだよ…重いな」 男はよっこいせと箱を持ち上げるとごろんとさかさまにした。 「ゆぐ!?」「ゆうう!?」「ゆっくりまわしぎゃあ!?」 中のものもごろごろ壁に当たりながら転がり、箱の穴が下側に向いた。 「さ、その穴からでな」 男は思っていたより重いのか少し声を震わせながら早く出るよう子れいむ達に促した。 「ゆっくりでてきてね!」 れいむはこれ以上ないという笑顔で子れいむ達の脱出を待った。 箱の中から子れいむ達が動きあう音がする。 「「「でれないよおおおおおおおおおお!!!」」」 「ど、どおいうことおおおおおおおお!?」 三ヶ月という時間は子れいむ達が成長するのに充分すぎたのだ。 500円玉程度の穴を通るには子れいむ達は成長しすぎていた。 「ぢゃんどだぢでね!でいぶのあがぢゃんぢゃんどだぢであげでね゛!」 「これ、加工場に働いてる兄貴から失敗作貰っただけだから加工場行かないと取り出すのは…」 「がごうじょういやあああああああああああ!!!」 子れいむ達が加工場という単語を聞いて泣き喚いた。 「ほがのぼう゛ぼうぢゃんどがんがえでよ゛おおお!!!」 子れいむ達が出られるという希望を打ち砕かれてれいむは半狂乱になって男に噛み付いた。 目は血走り、怒りに震えている。 「し、しるかよ!」 男は箱を投げ捨ててれいむを引っ剥がすと一目散に走り去った。 男にとっていくら同情したからといってこれ以上は面倒なだけだった。 「ゆぎゃあああああ!」 「いだいいいいい!!」 子れいむ達は箱を乱暴に投げ出されて壁に体を打ち付けて悲鳴を上げた。 「ま゛っでよおおおおお!ゆ゛っぐり゛だぢでえええええええ!」 れいむは男の後を追ったが遂にその男とふたたび出会うことは無かった。 「もういやあああああ!」 「ごごがらだぢでええええええ!!」 子れいむ達の悲鳴だけが箱の中から漏れ出していた。 それから月日は経って、子れいむ達が箱に入って一年がたった。 もはや親子の間で会話さえなくれいむが箱の中に餌を入れ それを黙々と子れいむ達が食べるだけという生活が続いていた。 成人間近の子れいむ達の食料を集めるためにれいむは奴隷のように働き続けた。 もはや他のゆっくりとの親交もなくただただひたすら食料を集めるだけ れいむの楽しみなど全く無くゆっくりせずに汗水たらす日々だった。 れいむはなみだも枯れ果てた目で箱を見つめる。 「ぉかあさん…」 その時、小さな小さなくぐもった声が箱の中から聞こえた。 「…!?どうしたの?ゆっくりしていってね!」 久々に聞いた子どもの声にれいむは慌てて箱をよじ登って穴を覗き込んだ。 「ぜまぃぃ…!」 「ゆ!ごべんね!いつかかならずだしてあげるからがまんしてね!」 れいむはいつも言っていた文句ながらも久々に子れいむと会話が出来て 嬉しそうに答えた。 「ちがうのぉぉお…!」 しかし子れいむの声は苦しみに満ち、切実だった。 「いぎ…でぎ…だい…」 「ぐるじぃぃ…!」 「ゆ!?どういうこと!?ゆっくりせつめいしてね!」 箱の中は限界に来ていた。 成長した子れいむ達により完全にぎゅうぎゅう詰めになり息をするのも困難なほどで 三匹は顔をつき合わせて穴に向かって口を開いていた。 もう後ろを振り返ることも出来ないだろう。 いや、横も無理か。 動かなくていいぶん発育だけは非常によかったのが仇になった。 ぶくぶくと太り成人以上のサイズになった三匹にもはやスペースは無かった。 次の日 何とかしなければと思いながらも結局何も思いつかなかったれいむは また食事を運ぶことを繰り返した。 「ぉか…さ…」 この前よりさらに苦しそうなか細い声が聞こえ、慌てて箱を覗き込む。 するとそこには赤黒い何かが広がっていた。 「ど、どおいうこと?!」 「はやくれいむのおくちにたべものいれてね!!!」 箱の中の赤黒い何かがうごめいたかと思うと子れいむの元気な声が返ってくる。 「ゆ!?ひょっとしてこれおくちなの? そんなところにいたらほかのみんながたべられないよ! ゆっくりどいてあげてね!」 「うるさいよ!むのうなおかあさんはゆっくりしてないではやくごはんよこしてね!」 「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおお!?」 子れいむの突然の暴言にれいむは驚愕した。 「こんなことになったのはおかあさんのせいなんだからおかあさんのいうことなんてきいてられないよ! おかあさんはれいむたちみんなしぬかれいむにだけでもごはんをあげるかとっととえらんでね!!」 「ゅ…」 「た…ぅぇて…お…ぁ…ん…」 子れいむの怒声と押し潰された他の二匹のか細い悲鳴が聞こえてくる。 「ゆ、ゆぅぅぅう…!」 れいむは悩んだすえに、他の二匹にないて謝りながら餌をあげることにした。 その顔には苦渋の色だけがあった。 それから三日ほど経った。 「……」 れいむは陰鬱な気持ちで箱の前へと歩いていった。 その姿はまるで死刑執行代への道を歩む死刑囚のように項垂れていた。 「おかあさん!はやくごはんちょうだいね!おなかすいてゆっくりできないよ!」 「ゆーおなかすいたああああああ!ゆっくりしてないでえええええええ!!」 しかし二匹の呼び声を聞いてその表情はぱぁ、っと明るくなった。 「ゆ!なかなおりしてくれたんだね!みんなでゆっくりごはんたべようね!」 れいむは三匹の子達が仲直りして押し潰すのをやめてくれたのだと想い喜びに震えながら穴を覗き込んだ。 「ゆ…?」 しかし穴の中からは甘い香りと真っ赤に開かれた二つの口があるだけだった。 甘い香りは一体どこから来たのかとれいむは目を皿の様にして必死に見回した。 何度か角度を変えると光の具合が変わり、その原因がわかった。 「どぼぢでええええええええ!?」 穴の前を占領していた子れいむが顎の下を食い破られて死んでいた。 「れいむたちのごはんをとるわるいれいむはやっつけたよ!」 「だからおかあさんはやくごはんちょうだいね!!!」 「ゆっぐりいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」 れいむの中に一挙に恐怖の感情が沸き起こった。 自分の家族を自分で喰らったこの子達は本当に自分の仲間なのかという疑問がわきあがる。 その疑問や恐怖を仕方なかったんだと理性が必死に押さえつけた。 感情を押し殺して、れいむの箱の前にただ餌を運ぶだけの日々がまた始まった。 「ぐぢゃいいいいいいいいいいい!」 「むじじゃんごわいいいい!おがあじゃんだずげでよおおおおおお!!」 「……」 食いちぎられた子れいむの死体は腐って、悪臭を放ち いつの間に入り込んだのか虫たちが集り始めていた。 れいむの耳にはそんな状況に身をよじって助けを求める子れいむ達の悲鳴を 聞き入れる気力さえなかった。 ただただ餌を与えるだけである。 数日後、男が巣の中をのぞいた。 一瞬、箱を渡した男が来たのかと思ったがよく顔を見ると別人だった。 ひょっとしたら箱の開け方が分かって助けに来たのかと思ったのにぬか喜びだったのかと れいむはまた死んだ魚のような目で俯き溜息をついた。 「その箱、開けに来てやったぜ」 「「「ゆ゛!?」」」 「弟に前なんとかならないかって頼まれててな 工場の道具持ち出すと色々とまずいんだが弟があんまりに憐れそうに言うんで遂に折れてきちまったよ。」 その男は箱を渡した男の兄であるようだ。 罪悪感を感じてた弟が兄に頼み込んで、重い腰をあげたというところのようだ。 「あ、あぢがどおおおおおおおおおおお!!!」 れいむは押し殺していた感情が爆発して涙を流した。 この箱に囚われた生活がやっと終わるのだ。 「やっどでれるよおおおおおおおお!」 「おねえちゃん!おかあさん!おそとにでたらいっぱいあそぼうね!!」 子れいむ達は顔を見合わせて嬉し涙を流しながら笑いあった。 れいむもその仲のいい姿をもうすぐ見れるのだと思って嬉しくて嬉しくて仕方が無かった。 今までの全てが報われたとれいむは思った。 「加工場製作のチェーンソー、切れないものはあんまり無いぜ!」 男が背負っていた巨大な機械の紐を引っ張るとその刃が回転し始める。 その刃を箱に添えると火花と不思議な金属音が鳴って、箱の上部が切り開かれた。 「ゆぎゃあああああああああ!!!」 「でいぶどりぼんがあああああああああ!!!」 その際子れいむの頭の皮が少し削れ、悲鳴を上げた。 「あ、わるいわるい」 男は悪びれなくニヤリと笑った。 「きをつけてね!」 「わかったわかった、今だしてやるから…あ」 男は顔をしかめた。 「ゆ?どうしたの?はやくだしてあげてね!」 「「だしてね!」」 「ちょっと見てろ」 そう言うと男は死んだ子れいむの体を掴み引っ張った。 ベリベリと音を立てて壁に皮を残して子れいむの死体がちぎりとられた。 「ゆげええええええええ!!!」 凄惨な我が子の姿にれいむは餡子を吐いた。 「な、なんでごどずるのおおおおお!!」 そしてすぐに抗議をした。 男は残念そうに首を横に振る。 「皮が壁に完全に癒着しちまってるよ 取り出したら今みたいに皮剥がれて死ぬね 諦めろ」 男は両手を上げてお手上げのポーズをとった。 「どおいうごどおおおおおおおおおおおおお!?」 「ぢゃんどだぢでよおおおおおおおおおおお!!」 子れいむ達が話が違うと悲鳴を上げ男に飛び掛ろうとした。 しかし今は動ける空間があるにも関わらず一歩たりとも二匹は動くことが出来なかった。 「ま、人生そううまくいかないってこったな」 男はやれやれとチェーンソーを抱えて去っていった。 「「おいでがないでえええええ!!!ゆっぐりぢでいっでよおおおおおおお!!!」」 子れいむ達の叫びに男は一度だけ振り返って残念そうに眉をしかめたがそれだけだった。 「ふ、ふひひひひひひひいひひひ…ゆっくりぃ…ゆっくりぃ…」 れいむに至っては、絶望の淵で目の前にぶらさげられた希望を打ち砕かれて遂に心に異常をきたした。 しかしその顔は幸せそうでもあった。 なにせこうやって何もせずにゆっくりしているなど一年ぶりにもなるのだから。 子れいむ達も直に何もかも諦めてゆっくりしだして家族みんなでゆっくりできるようになるだろう。 このSSに感想を付ける
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※ゆっくりいじめSSですが虐待成分極薄です、描写がほぼ無い;; ゆっくりではなく人間がメインだったりします。それでもよろしければお読みください。 染物 数年前、ここ幻想郷にゆっくりなるしゃべる饅頭のようなものが現れた。 動物か植物か、あるいは生物かすら怪しいそんな奇妙な存在。 人間はそんな彼女達を最初は疑問に、あるいは恐怖に感じていたが今ではそんなこともなくなってしまった。 あるものは農業や日々の作業を手伝い、人間と友好的な関係を築いた。 あるものは人間の家や田畑を襲撃し、そのため人間に駆逐されるような敵対関係を築いた。 あるものは食料や労働力を目的とし捕獲され、一方的な搾取を行われる支配関係を築いた。 その形は様々であるがゆっくり達は人間社会に浸透してゆき、その結果人々の生活は概ね豊かになっていった。 これは、そんな彼らと正面から向き合うある真摯な1人の男の物語である・・・ 「実録、ゆっくりにみる! ~ある伝統工芸者の挑戦~」 第2回 染物職人 染物職人の朝は早い。 日の出よりも早く床を発ち、黎明の空気を体全体で浴びる男が一人。 彼は「尾二山 猛」(ひじやま たける)さん、62歳。 彼の職業は染物職人、様々な繊維や生地に色を吹き込むことを生業にしている。 「まずは朝の空気を吸う、これが基本やな。これでその日の温度や湿度なんかを感じるんよ。」 温度計や湿度計、そんなもんよりワシの方が正確だ。 尾二山さんはそう言うと、いたずら小僧のようにニヤリと笑った。 染物と言うのは様々な素材から色素を抽出し、それで布や糸を染める技法である。 方法は様々で、単純に色を移すだけのものから、着物に一枚の名画を描きあげるまで用途は広い。 あらゆる染料、染色法を組み合わせることにより様々な効果を生み出すのだ。 そしてこの尾二山さん、ゆっくりを原料に使うという変わり染めを行っているのだ。 「ゆっくり染めは『二の三』て言うてな、染料を取る『部位』と染色の『目的』が3つずつあるんよ。」 二の三、どうやらそれがゆっくり染めの基礎らしい。 「まずは部位の三な。1つめはゆっくりの飾り、2つめが髪、3つめが餡。ここでの餡てのは餡子だけでなく中身全般を指すからな。 ほんで次が目的の三。1つめは装飾、2つめが忌避、3つめが誘引だわな。主にこれらの組み合わせで作るんよ。 まぁ聞くより見たほうが解りよいだろ。ほな作るん見に行こか。」 私達は工房へと向かった。 「まず染色液から見よか。これはまずゆっくりから飾りと髪を取るんや。」 そこでは多種多様なゆっくり達が次々とハゲ饅頭にされていた。次々と生み出されるハゲ饅頭の恨み言でなんとも賑やかだ。 「こん時、ハゲ散らかしたゆっくりを種別ごとに分けんと解らなくなるから注意な。ほんで饅頭は使う直前まで生かしとく。 これはストレスを溜めたほうがええ色が出るからな。必要だったら痛めつけることもある。」 なるほど、同じ材料でも扱い次第で出来上がりが違ってくるらしい。そこを見極めるのも職人の技と言ったところか。 「ほないっちょこ作りましょか。今回は紫色の染料をつくろうか。まずぱちゅりーの髪を5、ゆゆこの髪を2いれるな。 次にゆかりんの帽子を3、そして最後にまりさの餡を1いれると。少し黒を入れることで全体が引き締まるんな。 まりさ種は腹黒いから深みのあるええ色が出るんよ。」(※単位は匹です) そして禿げたまりさをおもむろに掴むと、「今回は深みを出そうか」そういって両目を抉りはじめた。 「ゆっがあああぁぁぁぁぁぁぁああっぁぁぁぁあぁ!!!??」 一気に抉らずじっくりくり抜いていく、その間もまりさは声をあげ苦痛を訴えている。 「で、たっぷり時間をかけて絞っていくと。」 「おぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!!!!」 目玉をくり抜き終えると、尾二山さんはまりさを揉みしごきはじめた。指先が食い込む度に空洞となった目から餡が飛び出す。 このようにほぐしながら取り出すのがコツなのだそうだ。その後まりさは30分ゆっくりし、ようやく死ぬことができた。 そしてそれらを煮込むこと十数分、釜の中には固形物は見えなくなっていた。 「元が饅頭やからね、溶けるのも早いんよ。で、これを濾して完成と。」 そうして出来上がった液体は赤黒く、まるで血の様な色をしていた。 あまりに想像していたものと掛離れていたことから呆気に取られていると 「まぁ見とれって・・・・・ほれ。」 尾二山さんが木綿切れをさっと通すと、それは透き通った美しい紫に染まっていた。 「染料は見た目が濃いになるからな、こうするとよう解るやろ。」 なるほど、実際に染めてみて初めてその美しさが見えてくるわけか。 そのように私たちが感心していると 「なぁ、ちっとこれの匂い嗅いでみ?」 そういって切れを渡してきた。どういうことかと嗅いでみると 「「!!!!!」」 「どや、なかなかええ香りするやろ。」 なんとも爽やかな紫蘇の香りが鼻腔をくすぐったのだ。よくよく嗅ぐとほんのりとした甘さも含まれており、それにより紫蘇本来の鋭さが より生かされていることがわかる。尾二山さん曰く、まりぱちぇはジャスティスなのだそうだ。それくらい相性がいいのだろう。 「見た目だけでなく匂いを楽しめるんも染物のおもしろいとこやな。普通の草木染でも香りは残るんやけど、ことゆっくり染めに関しては おもしろい香りが多い。匂い自身も長持ちするしな。これを利用してふらんやれみりゃを用いることによって、ゆっくりの嫌う匂いを作 り出し、無闇に寄せ付けんようにすることも出来るんや。これは畑を囲む縄や、玄関マットだっったか?何やあのハイカラなんに使うた りするこが多いな。」 なるほど、これが目的の1の装飾と2の忌避であるわけか。すると残す3つめは? 「ああ、それは匂いが移らんように別のとこでやってます。」 そういって私達は次の部屋へと案内された。 「ゆがああああああぁぁぁぁあ!!! ごべんなざいいいいいぃぃぃ!!!」 「もう揺るじでえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「ひゃっはああぁぁぁぁぁ!! たまんねえええぇぇぇぇ!!! 毎日がお祭りじゃああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 そこには大量のゆっくりと数人の男がいた。 ゆっくり達は総じてボロボロで今にも力尽きんばかり、一方男達は文字通り有頂天、とろけんばかりのヘヴン状態である。 男達は肉体的、精神的にゆっくり達を己の手業や道具、あるいは暴言などあらゆる手練手管を用い虐め抜いていた。 「おー。皆ようやっとるのう。」 「「先生、おはようございます!!」」 尾二山さんを先生と呼ぶこの男達は一体? そう思いあぐねていると、ふと男の1人が語りはじめた。 「こんにちは、記者さんですね?私達はここで誘引用染料を仕込んでいます虐待お兄さんです。」 仕込み・・・?どうにもあの光景が染物へと繋がらない。そこで尾二山さんが口を開いた。 「今から誘引用の染物についての説明するんで、それ聞いてもらったらこの作業の意味がようわかると思います。 まず誘引やけど、これは虫なんかに見られるメスがオスを呼ぶためのホルモンやとか、あるいは光に集まる性質なんかが有名やね。 そんで、ゆっくりにおける最も強力な誘引作用を持つものは容姿の良い美ゆっくりでも、おいしい食べ物でもないんよ。 その正体ってのは死んだ仲間の飾りなんやね。それもうんと苦しんで死んだ、恨み辛みの詰まったものほど強力や。 そこで、ここでは虐待お兄さん達に極限までゆっくりを痛めつけてもろて、それから染料つくっとるんですよ。」 ここまで話してお兄さん 「私達は元々イタズラにゆっくりを虐待して回ってたんですが、ある時先生に出会いましてその才能を生かさないかと声をかけていただき ましてね。それまでは虐待と言うと世間の認識も厳しいことがありまして、まともに見られたことなんてなかったんですよ。ですが先生 は私達をそんなの一切ぬきに正面から見つめて評価してくださったんですよ。」 なるほど、そんな理由があるとは露知らず何という失礼をしてしまったのか。私達は自身の行いに恥ずかしくなり精一杯詫びた。 「いえいえ、無理もないことですから。私も今は仕込みの虐待しかできませんが、いつかは先生のように一人で作品を仕上げるまでになっ て、少しでも世間に我々虐待お兄さん達が理解されるようにがんばっていきますよ!!」 そういって笑うお兄さんの目は熱く輝いていた。私達は再度謝罪し、このことを記事で世の人々に伝えることを約束した。 「ほな纏まったところで実際に染めていきましょか。まず特製の釜を火にかけるんですが、この釜からもう違うんよ。」 そう言われて見た釜は先ほどの部屋のものとは全く違うものであった。 「ぅぅ・・・ぅぅ・・・」 何と釜の正体は特大サイズのゆっくりだったのだ! 「でかいゆっくりの中身を死なん程度に抜いて、外皮を特殊なこんにゃく液で固めたもんや。漆なんかも試してみたけど意外とこんにゃく が一番しっくり来てな。この釜を使うことで込められる怨嗟がより強力なもんになるんよな。そんでここにさっき用意しといたゆっくり 達を入れて、なかなか死なんように加熱していくと。で、流石にそのうち力尽きるんで全部がそうなったらここで初めて水いれるんやな 。後はこいつを濾して完成や。これで染めた布を球状のもんに着けとくだけでおもろいようにゆっくりが集まるんや。罠なんかを使うて 一網打尽にする時や、ドスサイズのを討伐する時に矢にくくって打ち込んで混乱させたり、主に討伐に用いられるな。死んだゆっくりの 飾りをそのまま使うてもこの効果はある、けどここまで凝縮したこれの威力は半端でない。染めた物の強度に依存するから手荒く扱う ても平気やし、雨なんかにも強いしな。」 そうしてしばらく、この部屋が隔離されているのは他の布に匂いが移らんためだ、卸先は主に加工場であるなどの講義が続いた。 そして夕刻 「これで今日の仕事は終いや、長いことおつかれさんな!」 笑いながら尾二山さんは労いの言葉をかけてくれた。 「染物ってのは不思議なもんでな、材料や方法もさることながら作り手が変わってもガラッとさまを変えてまう。 自慢やないけどな、ワシのつくる染物はワシにしか作れんのよ。もちろんさっきのお兄さん達も、あいつらだけの染物持っとる。 もっともワシのがまだまだ上やけどな。まぁそれはともかく、こんなワシの作るもんでも喜んでくれる人がおるわけよ。 その人達に応えるためにも、ワシはまだまだこの仕事を続けていくんよ。ゆっくりて言うおもろい素材も謎が多いしな。 つまり、何が言いたいかって言うと何か夢中になれるもんを見つけて欲しいんよ。もちろん染物で無くてもいい。 何かに夢中になれる、ひた向きになれるってのは幸せなことやからな。そんで、もし染物に興味がわいたなら内に来たらええ。 いつでも誰でも歓迎したるからな。それだけや、長々臭いこと言うてすまんのぉ。」 そう言葉を紡ぐ尾二山さん照れた様子ながらも、その瞳はどこまでも真っ直ぐであった。 最後に私達は握手を交わした。尾二山さんの手は燃えるように熱く、そして力強かった。 今日も一人、己とまっすぐに向き合う男が釜へと向かう。 自身の情熱のため、そしてそんな彼を慕うもの達のために尾二山さんは挑戦し続ける。 染物職人の朝は早い。 終われ 作者・ムクドリ( ゚д゚ )の人 今までに書いちゃったの ゆっくりディグダグ ゆっくりディグダグⅡ みかん キャベツ 和三盆 みかん修正版(温州蜜柑) 水虫 水虫(治療編) このSSに感想を付ける
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前 ※注意 虐待お兄さんが死にます 一部世紀末スポーツゲームネタがあります それから二か月がたった。 子ゆっくりたちは相変わらず働かされ、親ゆっくりは相変わらず虐められている。 しいて変わったとすれば両者の関係だろう。なにせ二か月前にあれほどの言い争いをしたのだ 言い争いならまだしも、親の何匹かは死んだ以上、もはやどちらも家族とは思わなくなったようである。 ためしに両者を合わせようとしてもたいていは無視する。それならまだいいが、子ゆっくりの中には 兄弟で親を襲おうとするものまで現れる始末である。これにより、両者を縛っていたルールは無意味となり 命令を聞かない物は即食す!というルールに変更せざるえなくなってしまった。 しかしこのルールの方がモヒカンどもには受けがよかったのは言うまでもない。 そしてある日、聖帝はいつもの日課であるゆっくり家族の虐待に勤しんでいた。 今日の相手はふらん一家である。 「あかちゃんをはなぜえええーー!ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「いだあ゛い゛いだあ゛い゛いだあ゛い゛いだあ゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「じゃ・・・じゃおおおおおおおん!!!!」 泣き叫んだり噛みついたりする一家に対し、得意の星三つから~媚びぬ ブーバニ ヘヴィ グレ爆 低空ダッシュJB 一撃を決める聖帝 それにしてもこの聖帝、ひげである するとそこに一人の男が何やら足早にやってきた。 「聖帝様。ついに頂点部分以外の石の積み上げが終わりました。」 その報告を聞いた聖帝は狂ったように笑い出した。 「フフ・・・フハハハハ。フハハハ!!すぐにドスを連れて来い!」 「ハハッ!」 男は颯爽とその場を後にした。聖帝もすぐに向かおうとしたが、ふと気づいたようにふらん一家を見た。 「汚物は消毒せねばなるまい・・・。受けてみるがいい、南斗鳳凰拳符奥儀『天翔十字鳳!』 「うぎゃああああああああーーーー!!!」 「じゃお゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「お師さん、もうすぐ貴方の聖帝ゆっくり稜は完成する……」 それからいくらたったころ。ゆっくり達は全員ゆっくり稜の前に集められていた そこへやってきた聖帝が開閉一番にこう言い放った 「フフフ・・・・・・・聖帝ゆっくり陵の最後の頂はドスまりさによって築かねば点睛をかく!! ドスまりさ!!その頂はゆっくり陵の聖碑!地につけてはならぬ。もし地におとせば群れの血でつぐなうことになる!!」 そういうと聖帝の横からボロボロのドスまりさが現れた。と同時にゆっくり達から声が漏れる 「むきゅん!どすだいじょうぶ!しっかりして!」 「どす!しっかりするんだぜ!さっさとそのおじさんをドスパークで倒すんだぜ!」 「ゆっくりしないとだめだよドス!!!」 みなが自分勝手に言いたい放題である。しかしゆっくりたちの声も最早ドスには届いていなかった。 ドスは頂に乗せるであろう巨大な石を頭に乗せると 「ゆ・・・まりさが・・・頂で死ねば・・・みんなをた・・・助けるんだね?」 力を振り絞ってだした声に対して 「そうだ。『オレ』はこいつらには指一本触れはしない。」 ドスほどの頭ならば冷静に考えれば今の言葉の意味がわかるものなのだが、死に体のゆっくりにそれは無理な話である ドスは一歩一歩着実に上り始めた。ドスとしての誇りのお陰だろうか。その足取り?は立派なものだった そこへ容赦なく矢が降り注いだ。鋭い矢はドスの体を簡単に貫く。 「いだい・・・いだい゛けど・・・ドスは・・・がんばるよ!」 その痛みに耐えるドス。ここまで立派なドスはドスの中でも恐らく一割程度であろう。 次に生まれ変わる時は愛でスレかガ板へ生まれ変われるといいね。 そしてついに頂にたどり着いたドス。そこへ 「フッフフ積んだだけでは完成せぬ!ドスの餡子が漆喰になってこそゆっくり陵はより堅固なものとなるのだ!! フハハハ!!とどめだ!!」 容赦ない槍投げはドスの眉間を貫いた、ドスまりさの生命を終わらせるのに十分な威力であった。 「フハハハ!!後はこのゆっくり陵全体にゆっくりを塗り固めれば完成だ!!!貴様ら、思う存分やるがいい。」 「むきゅん!話が違うわ!約束は破っちゃ駄目っておかーさまがいってたわ!」 一見すると子ぱちゅりーの意見は正しい。しかしもう一度文を読み返してほしい。 「約束?確かにオレはお前らには指一本触れはしないと約束した。そしてその約束は今も守っているぞ。」 その発言に子ぱちゅりーも言葉の意味にやっと気づく。しかし時すでにタイムアップ 「ヒャッハー!虐待だー!」 「饅頭は消毒だ~」 「子れみりゃハァハァハァハァハァ・・・」 「おっどり食い!おっどり食い!」 テンションMAXのモヒカンどもはもう止まらない 「どぼぢでぞんなごどずるの゛ぉぉぉぉ!!」 「がえぜぇぇぇぇぇ!!でいぶのいも゛う゛どがえぜぇぇぇぇぇ!!!!」 「ぼのお゛はゆっぎり゛でぎないのよ゛ぉぉぉぉ!!」 「れみりゃですっきりじないでえぇぇぇぇ!!!すっぎり゛じだくないどぉぉぉぉぉ!!! 「ゆべ!」 あるものは火にかけられ、あるものは皮を剥ぎとられ、またあるものは慰みものにされ、あるものはゆっくり凌に投げつけられる。 そんな混沌とした中、聖帝が優雅に座っていると一人のぱちゅりーがやってきた。さきほどの子ぱちゅりーである。 「むきゅん!ドスの敵!」 そういうと子ぱちゅりーは無謀にも落ちていた矢で聖帝の足を刺した。 ただでさえ病弱なぱちゅりーである。矢の重みに負けかけているのにダメージを与えられる訳がない。 しかしその矢はなぜか足に刺さったのである。 「聖帝様!こ、この糞饅頭!バラバラに引き裂いてやろうか!」 そう怒りだす男たちに対して聖帝はそっとや止めろと合図した。 「見ろこの子ぱちゅりーを。ドスへの思いがこんなガキすら狂わす!! 愛ゆえにゆっくりは苦しまねばならぬ!! 愛ゆえにゆっくりは悲しまねばならぬ!! 愛ゆえに・・・」 【回想シーンスタート】 聖帝は幼き頃に親に捨てられた孤児である。 山に捨てられ、野たれ死か妖怪に食われるかの二つしかないと自分でも思っていた。 空腹で立つこともできずに倒れる聖帝 しかしその時、一匹のゆっくりが話しかけてきた。 「もこ?ゆっくりしていってね!」 その名もゆっくりもこう。非常に珍しい種類のゆっくりである。 再生力や口からだす炎もさることながら、そのゆっくりの一番の特徴は人間を率先して助けることである。 時には同じゆっくりを見捨てることもあるが、気にしてはいけない。現実は有情ではない。 幼き聖帝はもこうを師と崇め行動を共にすることになる。字の読み書きを教わり、食べられる物と食べられない物を教わり、 妖怪への対処法。さらには弾幕さえも教わったのではある。 人間とゆっくり・・・本来は相容れぬ関係のはずの両者だが、この二人には種族の壁を越えた家族愛が生まれいてた。 そして聖帝が十五歳になったある日。事件は起きた。 誕生パーティーを開くために、川へ大物を釣りに出かけた聖帝は夕方に自分達で建てた家へ戻ってきた。 しかし様子がおかしい。家の周りには火が燻ぶっている。そして家の中は何者かに荒らされていた。 お師さんの作った焼き鳥も床にばら撒かれている。 急いで裏の畑に向かうと、そこには燃えカスとなった妖怪が15人 そして口から餡子を大量の餡子を吐いたお師さんが居た。 「お師さん!!はっ!!しっかりしてください!」 おそらく弾幕をを何発も受けたのだろう。傷が全く治らない。さしものもこうの再生力でもこれは無理なのである。 「お・・・お師さん!!な・・・なぜ、身を引けたはず!!そうすれば傷を負わなかったものを!!」 流石にこの状況が不利なのはわかっていたはずである。一旦身を引いて、自分が戻ってきたあとに戦えば確実だった。それなのになぜ・・・ するともこうはゆっくりと話し始めた。 「●●●●・・・もこたんはおまえと特製の焼き鳥でゆっくり誕生日を祝いたかったんだよ。でも・・・もう無理だね・・・ もこたんはお前に帝王のゆっくりをみたよ・・・ゆっくりするん・・・だ・・・よ・・」 そうして二度ともこうが動くことはなかった。 も・・・もこ・・・うう・・・も・・・もこたん・・・・・・・・・ もっ・・・・もこ・・・・・・もこた~~~~ん!! な・・・なぜ こんなに苦しいのなら、悲しいのなら・・・・・・・・・・・ 愛などいらぬ!! 【回想シーン終了】 「おれはその時から愛をすてた!いや帝王の星がめざめたのだ!! 帝王に愛などいらぬ!!はむかう者には死あるのみ!! 聖室を開けーーい!!」 そういうとモヒカンたちはレバーを動かして。するとゆっくり稜の右上の部分が開いた。そしてそこにあったのは 丁寧に置かれたゆっくりもこうの遺体であった。なんで腐らないとか言っちゃ駄目。 「この遺体はわが師もこう!! このゆっくり稜は偉大なる師もこうへの最後の心!! そしてこのおれの愛と情の墓でもあるのだ!! フフ・・・きさまの矢では血を流すことはできてもこの帝王の血を絶やすことはできぬ!!」 そうして聖帝は足で子ぱちゅりーを踏みつぶした。僅か0.003秒の早業である。 それから一ヶ月後。全体をゆっくりで塗り固められ、ついに聖帝ゆっくり稜は完成した。 だがその当日。北斗神拳符伝承者が現れた。 男たちの戦いは壮絶を極めた。しかし、最終的に救世主の有情拳が胸に刺さり、決着がついた。 「うああ!!ぐふっ!!きさま・・・苦痛を生まぬ有情拳を・・・・・・・このおれの死さえ情で見送るのか・・・!? フッ・・・鳳凰の聖帝の夢はついえたか・・・・ さ・・・・・最後におまえに聞きたいことがある 愛や情は哀しみしか生まぬ・・・ なのになぜ哀しみを背負おうとする なぜ苦しみを背負おうとする。」 「愛や哀しみを背負わなければぬくもりは得られぬ。そしてぬくもりが無ければゆっくりは虐待できぬ。 そしてゆっくりを愛することもできぬ。 お前も師からそのぬくもりを貰ったはずだ。」 その言葉に聖帝は過去を思い返す。あの辛くとも楽しかった日々を。 「ぬくもり・・・・・・・・・ フッフフフ・・・負けだ・・・完全におれの負けだ・・・・・・・・・・ 北斗神拳符伝承者・・・・・・・おれのかなう相手ではなかった・・・・・・・・・・ も・・・・・・もこたん・・・・・ む・・・・むかしのように・・・・・・・・・・・・・・・ もう一度ぬくもりを・・・・・」 もこうの遺体の傍まで這っていく聖帝。 まるで遊び疲れた児童のように、聖帝は実にゆっくりとした笑顔でその人生に幕を引いた。 「ゆゆ~♪おにーさんありがとね!ばかなおじさんをゆっくりさせてくれて!」 一部始終を見ていたれいむはそう言った。このれいむは二日前にここに連れてこられて虐待されていたのゆっくりである 救世主は無言でそのれいむをつまみあげる 「ゆ~♪おそらをとんでるみたい~」 などど呑気なことをいうゆっくりに向って 「北斗残悔拳 !」 指をれいむの頭に突き刺す。 「ゆっ!なにするの!ゆっくりはなしてね!」 「この指を抜いてから3秒後にてめぇは死ぬ。」 「ゆゆ!ゆびをはなさないでね!ゆっくりできなくなるから!・・・はなざないでくだざい゛い゛い゛い゛い゛い゛」 ≪あとがき≫ 初SSです 展開は最初から考えてはいたが実際書くとストレスでマッハで駄目ポ もこたんかっこいいよもこたん このSSに感想を付ける
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2008年、夏、東京。 俺はカメラ片手に繁華街をうろついていた。 幼女を盗撮しようとかそういうワケではない。 ターゲットはゆっくりだ。 最近発見された、生きる饅頭。 日本では大量に見つけることができるが、海外にはほとんどいない。 台湾やアメリカの一部の州ではゆっくりの生息が確認されたそうだが、ほぼゼロだ。 そのふてぶてしい顔、そしてその不思議な生態は日本だけでなく世界の注目を浴びている。 なんでも去年、日本に訪れた観光客が例年の3倍近く増えたという。 ゆっくりバブルと、世間は騒ぎたてていた。 俺はそこに目をつけた。 海外で放送されているゆっくりのドキュメンタリーは、ほとんどが田舎が舞台になっている。 元気いっぱいに跳ね回り、力いっぱい「ゆっくりしていってね」と発声する。 そんなハツラツとしたゆっくり達ばかりが主役だ。 だから俺はあえて、都会に住む、みすぼらしいゴミクズのようなゆっくり達にスポットライトを当てようと思った。 時代はインターネット。 世界はつながっているのだ。 既にブログは開設済み。 英語の読み書きだけは得意だったので、日本語ページと英語ページが用意されている。 あとはyoutubeにメインとなるゆっくりの動画をアップするだけ。 ブログは主に、動画の制作に関する話題や、日本にゆっくりを見に観光する際のお勧め情報を載せるつもりだ。 アフィうめぇと言える日を夢見て、俺は早朝の繁華街を歩いていた。 「おっ、第一ゆっくり発見」 建物と建物の間に、1匹のゆっくりがいた。 飲食店が多い繁華街なのですぐに見つかるとは思っていたが、こんなにすぐ見つかるとは。 こんなウジムシのごとくブリブリ湧いてるモノを見に、わざわざ日本にやってくる外人がいるとは驚きである。 「ゆっ・・・!」 さっそく、カメラを録画モードにする。 ドキュメンタリーのつもりなので、あとで編集はする。 流れとしては、日本語で喋る俺の声はそのままに、画面下のほうに英語の字幕をつけるつもりだ。 「まりさ種発見です」 まりさは膨れて威嚇はしないものの、、ぶつぶつと喋る俺に警戒をしているようだ。 「 ゆゆ・・・ゆっくり・・・」 田舎に住むゆっくりのように、嬉しそうに挨拶はしてこない。 それが都会に住むゆっくりの特徴だ。 「それでは挨拶をしてみましょう。ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっ、ゆっくり・・・ゆっくりしていってね・・・・」 ゆっくりとは思えない挨拶と媚びるような笑顔。 恐怖に脅える顔が透けて見える。 本心から発した言葉ではないのだろう。 だが、俺にはそんなことどうでもいい。 都会に住むゆっくりの典型的な例なので、撮影に協力してもらおう。 俺はズカズカと、まりさの方へ歩いて行く。 「ゆっ!ゆっくりこないでね!」 そう言いつつ、逃げようとはしない。 何かあるのだ。 ゆっくりが身を挺して守るものなど、赤子くらいなもの。 まりさの頭上から奥を除くと、ダンボールの中にソフトボールほどの子ゆっくりが4匹ほど眠っていた。 アタリを引いたようだ。 「やあ、まりさ。ちょっとお話があるんだ」 俺はまりさに撮影の話をした。 都会のカラスと同じで、都会のゆっくりは田舎のゆっくりに比べて知能が高いことが多い。 このまりさも普通のゆっくりよりも若干賢かった。 説明はすぐに終わり、撮影の許可をいただくことができた。 「じゃあ、これからまりさの生活を見せてもらうよ。よろしくね」 「ゆっくりりかいしたよ!」 許可してもらったのは、まりさの行動をすぐ後ろで撮影させてもらうこと。 そして、まりさはカメラを意識しないで普段通りに生活してもらうこと。 報酬としてエサをやるといったら、すぐに了解してくれた。 ただ、野良ゆっくりにエサをやるのはマナー違反である。 なので撮影が終了したら黙って帰ろうと思う。 「そうだな、それじゃちょっとまりさの体を見せてくれるかな」 「ゆっ。ゆっくりながめてね」 狭い場所なので、くるくる回って撮影ができなかった。 しょうがないので、まりさを近くにあった板に乗せて回転させる。 本当に、汚いまりさだった。 最初に感じたのは、顔の皮の色だ。 全体的に茶色に染まり、擦り傷がアチコチに見られる。 試しに触ってみると、油汚れのようなネットリとした不気味な粘着を感じた。 底部は硬かった。 連日、コンクリートを這っているため、タコのようになっているのだろうか。 髪の毛はボサボサで、ところどころにゴミや木の枝などが巻き込まれていた。 後頭部の髪には、噛んだガムがねっちょりとこびり付いていた。 しかもひとつだけでなく、いくつもついていたため、後頭部はガムまみれ。 「にんげんさんがむりやりつけたんだよぉ・・・!ま、まりざはっ!まりざはやべでっでいっだのにぃいぃぃ」 と、泣きだす場面もあった。 帽子も変な形をしていた。 トンガリ帽子のはずなのに、べっこりと潰れてプリンのような形をしていた。 また、帽子に巻かれているはずの白いリボンはなかった。 まりさ曰く、ガムをつけてくれたお兄さんに目の前で焼かれたらしい。 あらかた撮影したので、まりさを板からおろした。 「じゃあ俺は撮影してるから、まりさは普段通りに過ごしてくれよ」 「ゆっくりするよ」 まりさは子供達の眠るダンボールに向かっていった。 俺もすぐに後を追う。 「おちびちゃんたち・・・きょうもゆっくりできるといいね」 子ゆっくりは笑顔で眠っていた。 体は親同様、汚く着色されているのでお世辞にも可愛いとは言えないが。 まりさ種が3匹と、れいむ種が1匹。 よくある組み合わせだ。 「もう1匹、親のゆっくり霊夢はどこにいるんだ?」 「ゆぐっ・・・!」 今にも泣きだしそうな顔。 それをグッとこらえる仕草をしながらまりさは言った。 「れ、れいむはっ!まりざのぜいでじんじゃっだんだよ・・・・」 「ほー。それはなぜ?」 「へんなおにいざんが・・・!まりざのれいむをぉお!!!ゆぅうぅぅぅぅうっ!!!」 そのまま、まりさは泣き崩れてしまった。 勝手な推測だが、きっと悪い人間にれいむは殺されたのだろう。 まりさを逃がすために囮になったのか、それとも単にグズだったのかは分からないが。 「ゆっくり虐待かー・・・」 以前、youtubeにゆっくりアリスの虐待画像をアップした人間がいた。 グチャボロになりながらも、必死で生きようとするありすの姿が記憶に新しい。 アップロード者は、そのまま動物愛護法でしょっぴかれてしまったのだが。 「ま、ドキュメンタリーなら大丈夫だろ」 俺はカメラを子ゆっくりに向け、その薄汚い笑顔をアップで撮った。 日が高く上った頃、ようやく子ゆっくりが目を覚ました。 「ゆっくりさせてね!」 「れいむはおにいさんとゆっくりしたいな」 「まりさ、すごくゆっくりしてるよ」 「すりすりしてあげるね!」 と、俺の存在に気がつくとすぐに話しかけてきた。 意外と人懐っこい・・・というよりは媚びるのが得意のようだ。 1匹の子まりさがすりすりをして媚を売ろうとしてきたが、汚い皮ですりすりされても嬉しくない。 ウニクロで買った俺の服が汚れてしまう。 早々に親まりさに説明をさせた。 「ゆぅー・・・」 「れいむはひとりでゆっくりするよ」 「ゆっくり・・・」 「すりすりしてあげないよ」 すぐにエサをくれない人間だと理解したようで、俺への関心を失ったらしい。 単純で良い。 「ゆっ!それじゃあみんな。かりにいくよ」 「ゆー!」 「ゆっくりするよ!」 「ゆっくりしたい!」 「がんばってゆっくりしようね!」 親まりさの掛け声に、4匹の子ゆっくりが嬉しそうに応える。 狩り。 いったい、都会のど真ん中でどのようなことをするのだろうか。 ピョンピョコと跳ねる5匹の後を、カメラ片手に俺は足を進めた。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 やってきたのは、すぐ手前にあったコンビニ。 狩りではなく乞食であった。 コンビニの外に置いてあるゴミ箱に隠れて、店に入る客に声かけをするだけだ。 みじめである。 乞食慣れしているのか、声も大きい。 「おじさん!まりさとかわいいおちびちゃんたちに、ゆっくりできるものをちょうだいね!」 コンビニから出てきた腰を曲げた老人に、親まりさは声をかけた。 「おじいさん!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしたいよ!おいしいごはんをちょうだいね!」 「ごはんたべたいよ!おねがいだよ!」 「れいむ、おじさんとごはんたべたいよ!」 「まりさにはいらないから、こどもたちだけでもゆっくりさせてね!」 親まりさが最後にそう言うと、子ゆっくり達は親まりさにすり寄り、「おかあさんもいっしょにゆっくりしたいよぉー」などと言うのであった。 演技派のようだ。 その老人は5匹に近寄り、とても外見からは想像もできないような回し蹴りを親まりさに放った。 「ゆぼげっへぇっ!!」 駐車場を転がっていく親まりさ。 老人は、それを呆然と見ている子ゆっくりにツバを吐きつけると、そのまま帰って行った。 「なんというモラルの低下。高齢化した結果がこれだよ!」 少し遠くから、俺はその様子を撮影していた。 まりさの帽子にはマイクが仕込んであるので音声もバッチリだ。 親まりさは派手な転がり方のワリに、意外とすんなり立ち上がった。 それどころか、レンズ越しに映る親まりさの体に特にキズは見当たらなかった。 その後も親まりさと子ゆっくりは、コンビニ前で乞食を続けていた。 お昼頃になると、その存在に気がついた店員に箒で追い出されてしまったが。 「ゆぅ・・・このままじゃゆっくりできないよぉ・・・」 「おなかずいだよぉぉお!!!ゆっぐりじだいのぉおお!!!」 「れいむはやくゆっくりしたい・・」 「もううごけないよおおお!!!」 「まりざおながずいだのにぃぃい!!!」 繁華街の中心を、貧相な一家が彷徨っている。 道行く人々は、視界に入らないよう歩いているようだ。 ずりずりと這う親ゆっくりが、あるものに気がついた。 「ゆ!これはゆっくりできるものだよ!!」 なんだろうと思っていると、親まりさは地面に顔を近づけた。 「これはあまあまだよ!ゆっくりできるんだよ!」 その笑顔といったら。 あれほど明るい笑顔を、あんなもので・・・。 「うわぁ・・・」 思わず声がこぼれた。 「ゆゅー?それなあに?」 「ゆっくりできる?」 「はやくたべたいよ!」 「ゆっくりちょうだいね!」 それは、道にこびりついていたガム。 誰かが吐き捨てたであろうガム。 多少硬くなっているようだが、親まりさの髪についているものほど硬化してはいないようだ。 親まりさはそれをくわえ、必死でひっぱっている。 哀れすぎて何も言えない。 「ゆゆっ!!とれたよ!!」 勢いあまって後ろに倒れこんだ親まりさ。 その口には、不衛生極まりないガムが。 「それじゃあおちびちゃんたち、ゆっくりたべてね!」 周囲の冷たい視線など、まるで無いかのように微笑む。 ただ、人の目があるのでおいそれとゆっくりを殺すワケにもいかない。 もしや、それを理解しているのだろうか。 「ゆー!あまあましあわせー!」 最初に食べさせてもらったのは、子れいむだった。 正直、見てて凄く気分が悪い。 誰が噛んだかも分らんガムを、よくもまああんなに嬉しそうに食べられるものだ。 「ゆ!まりさもたべたい!」 「れいむばっかりずるいよ!」 「まりさも!まりさも!」 「れいむ、そろそろこっちのおちびちゃんにもあげてね」 子れいむは聞き分けの良い子供だったらしく、ペッとガムを吐き出した。 すぐに別の子まりさがガムを口に含む。 「ゆー!まりさもあまあまー・・・・・・?」 顔にハテナマークをつける子まりさ。 「ぜんぜんあまぐないよぉおおおっ!!どぼじでなのぉおお!!?」 そりゃそうだ。 ただでさえ誰かが噛んで甘さが無くなっているのだ。 子れいむが噛んだことで、もはやただのグニュグニュしたものになってしまっているだろう。 「れいむがまりざのあまあまをどっだんだぁあああっ!!」 怒りの矛先は子れいむへ向いた。 猛烈な勢いで、子れいむに跳ね寄る子まりさ。 しかし、それは親まりさによって防がれてしまう。 「れいむになにをずるのぉおお!?だいぜづなしまいでじょおぉお!!?」 ボインっと膨れ、子まりさはそのまま吹き飛ばされてしまった。 ケガはしていないようだが、親まりさに弾かれたことが悔しいのか悲しいのか、起きあがろうとはしなかった。 「まりざもおぉお!!まいじゃもあまあまたべぢゃいのにぃいいっ!!!おぎゃーざんのばかぁああっ!!!」 子まりさの醜い声が繁華街に響き渡る。 「うるせーぞ糞饅頭が!」 すると、目の前の店から一人の男が現れた。 どうやら店員らしい。 「ゆゆ!みんなにげるよ!!おちびちゃんもゆっくりにげてね!」 おちびちゃん、泣き叫んでいた子まりさを呼ぶ親まりさ。 だが親の心なんとやら、子まりさはそれを拒む。 「や゙ぢゃよぉお゙ぉ゙お!!まりざのあ゙まあま゙っ!!ばりじゃのあ゙ま゙あま゙がえじでよぉぉぉおっ!!!」 「ゆぅうううっ!!!みんな、あのこはゆっくりできないこだよ!!いそいでにげるよ!!」 子まりさがあまあまを諦めるよりも、親まりさの見捨てる決断のほうが早かった。 親まりさと子ゆっくり3匹は、瞬く間に逃げて行った。 「ゆっ・・・!?おかあしゃ・・・!?ど、どぼじで・・・!」 茫然自失。 涙も止まり、声も止む。 それに満足したのか、店の男は戻って行った。 残されたのは、親に見捨てられた子まりさ1匹。 もう死ぬしかないだろう。 俺もそれに見切りをつけ、逃げた4匹を追った。 「あ゙ぁぁあ゙ああぁ゙ぁああぁ゙ああぁ゙ああぁぁぁ!!!ばりざのごどぼがあぁああっ!!!」 小さな公園で、親まりさがボロボロと泣き崩れていた。 「おかあさん、ゆっくりしてね・・・?」 「そうだよ、まりさたちがいるよ!いっしょにゆっくりしようね」 「あのこのぶんもゆっくりしようね」 それを3匹の子ゆっくりが慰めていた。 「おかあさんにすりすりするよ!」 「すりすりでゆっくりしてね!」 「すーりすーり♪」 そして始まるすりすり。 目糞に鼻糞を擦り付けているようなおぞましい光景だ。 「ゆっ・・・!みんな、いっしょにゆっくりしようね!あのこのぶんもゆっくりしようね!」 時計の針が午後3時も回った頃、ようやく親まりさは立ち直った。 「きょうはおうちにあるごはんでがまんしようね!かりはあしたやろうね!」 今日の狩りは終了したらしい。 何も得るものがない狩り。 逆に子まりさがいなくなって、何が狩りなのか。 「狩られ」だと思う。 そんなことを考えているうちに、4匹は帰路についていた。 「どぼじでごはんがないのぉぉぉおおっ!!!?」 帰って来た4匹を待っていたのは、残酷な現実だった。 「ごごにごはんがあっだのにぃいいい!!」 ここ、といって覗いているのは空のビール瓶のケース。 もともと黄色い色のケースだったようだが、色褪せてクリーム色になっていた。 キリンのビールケースだ。 子ゆっくり達は、すでに腹が減って喋る気力もないらしい。 マイクは親まりさの嘆きだけを記録していた。 「ゆっ・・・!でもおにいさんがごはんをくれるよ!きょうはゆっくりできるはずだね!」 それに気がつき、声が喜色に染まった。 体をふりふりさせながら、俺がエサを持って帰ってくるのを待っている。 「よし、今日の取材はここまでにするか」 youtubeにアップロードするのが目的なので、あまり長々としたものにするつもりはない。 せいぜい10分、長くても15分に収めるつもりだ。 なので、これ以上この一家の相手をするつもりはなかった。 「あとは編集して・・・、あれして・・・これして・・・・」 ぶつぶつと呟きながら、俺は親まりさに近づいた。 「よ、まりさ」 「おにいさん!やくそくのごはんをちょうだいね!」 「ごはんちょうだいね!」 「れいむにごはんちょうだい!」 「まりさにおいしいごはんをちょうだいね!!」 俺の姿を見ると、子ゆっくり達も気力を振り絞って声をかけてきた。 だが、相手をするつもりはない。 「マイク返してね」 帽子に仕込んだマイクを取り返す。 そして、そのまま背を向ける。 「ごっ・・・!?ごはんはっ!?まりさたちにごはん!」 なんだか生ゴミが騒いでいるが、気にしない。 蹴飛ばすのも嫌だったので、俺は全力疾走で駅まで駆け抜けた。 数日後。 俺はまた繁華街にやってきた。 アップロードした動画は、大好評だった。 アメリカをメインターゲットにしたつもりだが、世界中でウケたらしい。 英語、フランス語、スペイン語、中国語、ハングル、ロシア語で書かれたメールが山のように届いた。 英語しか読めなかったが。 そんな感想で目立ったのが、あの家族はあの後どうなったのか、という質問だ。 そんなワケで俺は再度、繁華街、あの建物と建物の間を見にやってきた。 「いるかな・・・?」 そこには、3匹のゆっくりの変わり果てた姿があった。 親まりさが1匹、子まりさが2匹。 子れいむはいなかった。 この数日の間に死んだか、逃げたか、食べられたかしたのだろう。どうでもいいことだ。 これは番外編としてブログに載せるつもりなので、今日はデジカメで写真撮影をする。 親まりさはゲッソリと痩せ細り、アンコが透けて見えそうだ。 表情は暗く、全てに絶望しながら死んだかのよう。 対して、子まりさ2匹は比較的まともな顔だった。 一体、この家族がどうやって死んだのか。 それは誰にも分らないだろう。 東京では、今日も数えきれないほどのゆっくりがゆっくりを求めて死んでいく。 誰にも存在を気づかれることなく消えていくモノもあるだろう。 この家族は少しはマシだ。 俺のアフィ収入になるのだから。 俺は次の企画を考えていた。 このSSに感想を付ける